「MaaS/未来のモビリティ社会」
11月13日(金) 14:00-15:00
@SHIBUYA QWS
<登壇>
日本交通株式会社 代表取締役会長
株式会社Mobility Technologies 代表取締役会長
川鍋一朗
パーソルホールディングス株式会社 Chief Digital Officer 兼 グループデジタル変革推進本部 本部長
友澤大輔
Uber、DiDiのような”黒船”が海外から進出する中、日本のタクシー業界はどのように変化しているのでしょうか?
日本交通株式会社・株式会社Mobility Technologiesの川鍋一朗さんとパーソルホールディングス株式会社の友澤大輔さんの2人がタクシー業界に現在起こっていることやこれから先の未来の構想についてトークセッションを行ないました。
「タクシー業界ではこれまでにタクシーメーター、タクシー無線というイノベーションがあったものの、業界自体に長らく変化は見られなかった」と語った川鍋さん。2013年にカリフォルニアを訪れた際、プロのドライバーではなく普通の人が運転するUberに衝撃を受けたと言います。
そんな川鍋さんは現在、Mobility Technologiesの会長として、全国16エリアで展開するタクシーアプリ「GO」や次世代AIドラレコサービス「DRIVE CHART」の開発など業界のイノベーションを主導。また、自動運転タクシー車両の実証実験にも関わりますが、自動運転を実現するには技術や規制緩和の問題よりも人間が心理的に自動運転に慣れるなどを経て社会重要性が高まる必要があると言います。その実証実験をタクシーで行なうというのが川鍋さんのアイデアです。
こういったアイデアを実現する上で川鍋さんが心がけているのは「まずは行動すること。やりたいことがあればすぐに始める。準備不足を言い訳にしない」ということ。そして「同時にいくつもやる。一つ一つの精度は低くくても一気にやっていると自ずとうまくいくものとそうでないものに分かれてくる。小さく始めて大きく育てるのが大事」と語ります。
これから先の未来のタクシー業界について、「街の中を24時間動き回るのがタクシーの本質。それによって生まれるネットワークに情報をアドオンしていく」という構想を語る川鍋さん。タクシーのドラレコと画像認識技術によって、事故の責任の明確化に役立てたり、街の防犯や見守りに役立てることは、ずっと移動し続けるタクシーという物体だからこそできるアイデアで、これが実現することで移動していること自体に価値が生まれると説明します。
そして、「GO」ではアプリのアルゴリズムを使い、地域のデータを元に予約時間帯の状況を分析をしてスムーズな配車が可能ですが、こういったローカルエリアに関するデータを蓄積していけることでその地域に精通していけることもタクシーが他に勝る部分。友澤さんの「MaaSの世界も今後はデータで勝負する時代になってくるのか?」という質問に対し、「それに加えて画像認識や配車予約などサービスを組み合わせることでローカルエリアを縦堀りしていくことが重要になってくる」と川鍋さん。そういった地域にあわせたハイパーローカルなサービスでは、例えば、渋谷区で実証実験をすることで、近い将来、渋谷の特色にあわせたサービスが生まれてくることも考えられます。
これまでのタクシーは人を乗せて移動するだけものでしたが、今後は人以外にもあらゆる情報を乗せて移動することで”タクシーが走るほどに世の中が良くなる世界”が実現するはずです。