飲食業界の未来を握る“社会インフラとしての物流”の実現——中村利江/伊東正明/長田新子

「進化する社会システム」
11月11日(水) 18:30-19:30
@SHIBUYA QWS

<登壇>
株式会社出前館 代表取締役会長
中村利江
株式会社𠮷野家 常務取締役
伊東正明
モデレーター:
一般社団法人渋谷未来デザイン 理事
SIWプロデューサー
長田新子

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株式会社出前館の中村利江さん、株式会社𠮷野家の伊東正明さんによるこのセッションでは、日本でも身近になってきたフードデリバリーサービスと飲食業界の現状を通じて、人々の生活を支えるライフインフラに関する新しい取り組みについてトークが行なわれました。

「フードデリバリーサービスは、コロナ禍をきっかけに急速に社会に浸透した印象がありますが、実はそれ以前からじわじわと需要が高まっていた。近年、外食産業は縮小傾向にあるものの、DX化によって、自店配達だけでなくシェアリングデリバリーの市場が開拓されてきている」と中村さんは語ります。

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これから日本の社会は高齢化が進み、飲食業界が厳しくなると言われているということに対して、伊東さんはこう言います。
「高齢化が進み、日本人の胃袋が小さくなるとはいえ、人間は基本的に1日に3食食べる。1年間で人は100回外食するというが、それ以外の食事の際の需要を掘り起こすことに飲食業のビジネスチャンスがある」
続けて中村さんも「食べ方自体は多様化している。それにスピーディーに対応できたところが勝っていく」という認識を示しました。

コロナ禍によって、飲食店が苦境に立たされていることについて、「自治体は外出自粛と言うが、飲食店はそうなると商売が難しくなる。しかし、その対策として求められるのがフードデリバリー。出前館では自治体と組んでクーポンを提供する取り組みも行なったが、結果的に自治体と組むことで地域の飲食店からの信頼も上がった」と中村さん。また、フードデリバリーを開始したことで、飲食店側もイートインの客層とは全く違う客層を認識するきっかけが生まれたと言います。

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『コロナ禍によって人が来なくなった渋谷における飲食業界のチャンス』というテーマでは、伊東さんが「デリバリー専門店を増やすなど色々なやり方を試しているが、今後、最適解が出てくるはず。渋谷では目的なくフラフラしている人の消費は間違いなく減った。そのかわりに今は、地域に住んでいる人の胃袋を満たすことにシフトしている」と語りました。

それに関連した『進化する社会サービス』というテーマでは、「出前館は全国にデリバリー拠点を設けているが、それらの拠点を中心にその地域のインフラになることを目的にしている」と中村さんが語れば、伊東さんは世界中の小売業でスモールボックス化が進んでいることを例に挙げながら「今後、高齢化やDX化が進むと日常生活のための遠出をしなくなり、郊外のロードサイド店は減り続ける。立地条件というものがそもそも自分たちにとって意味があるのかを考えていかなければならない」と語ります。さらに「シェアリングデリバリーサービスを使うことで物流費を極限まで下げていくこともできる。いわゆる“ラストワンマイルのデリバリー”が社会インフラとして成立するようになれば、日常生活食は家庭でとり、遊びの時だけ外食するようになる。ただ、飲食店としてはどうやってお客さんの手元に商品を届けるかを考える必要がある」とも。

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そして、これからのデリバリーサービスについて、中村さんはこう語ります。
「将来的にはデリバリーサービスはドローンなどを使った自動配送になるが、すぐには難しい。だから今は、ギグワーカーのクオリティを担保することで地域と連携していく。まずは安心して配達してもらえる体制を整え、その次に配達効率を考える。イニシャルコストがかかるが、これができれば今後はもっとサービスとして発展していく」

また、今後のデリバリーサービスの可能性についても意見を交換しました。デリバリーサービスでは、配送効率が上がるとコストが下がることも前置きしつつ、中村さんは「デリバリー料金が店舗価格と同じになれば、もっとサービスが伸びる」と伊東さんに提案。伊東さんはその提案に対して耳の痛い話だとしながらも「いろんな配送業者が自分のものを運ぶために地域を回っているが、それが社会インフラに変わっていけばコストの圧縮は図れるはず。そういったことを自治体とも連携しながらどうやって共通化していくかが今後の課題。次に起こる大きな変化としてこういった物流革命が起きれば、世の中の生活は劇的に変化するはず」と語りました。

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