クリエイティブで人々の心に火を灯すまちづくり——澤邊芳明/金山淳吾

「都市と文化と近未来シナリオ」
11月13日(金) 12:30-13:30
@オンライン配信

<登壇者>
株式会社ワントゥーテン 代表取締役社長
澤邊芳明
一般財団法人 渋谷区観光協会 理事
SIW プロデューサー
金山淳吾

「放送」や「出版」そして「広告」の従来型の概念やそのフォーマットが破綻していく現代。リアルとバーチャルが融合し包摂する社会の中で、新たな視覚&体験コミュニケーションの可能性を追求する澤邊芳明さん。広く社会や時代をキャンバスに創作活動をするクリエイターが増える中、そのフロントランナーである澤邊芳明さんに、「都市」「文化」「社会」がこの先どうアップデートされるのかお話を伺います。

文化は守るものではなく、作るものになりつつある近年ですが、コロナで都市の機能が停滞してからは、文化の醸成が以前より難しくなってきています。そんな中、「これからどうするのか」を考えながら未来を描いていくことが必要です。

澤邊さんが立ち上げたワントゥーテンは、「あらゆる人々の心に火を灯し、あらゆる全てを刷新する」をテーマとしています。その理念は、自身が足が不自由になった際に、リハビリ期間の退屈をいかに解決するかという原体験から生まれたそう。伝統芸能とテクノロジーを掛け合わせ、インスタレーションとしてのイベントの開催を行っています。
「コロナで途絶えてしまう文化を繋ぎ止める手段のひとつなのではないか」と金山は語ります。

「文化の対義語は、自然なんだそうです。自然から生まれた人間の生活様式の塊が文化になり、それが長く続くことで伝統文化になる。コロナをきっかけに新しい様式が生まれ、新たな文化が構築されていく」と、澤邊さん。また、エンターテイメントには興奮できるものとゆったりできるものがあり、滞在するだけで心地が良いようなものを求めていくのも良いのではないか、とも。

『都市とはクリエイターにとってどういうもの?』という質問に対しては、「町ごとによって色のある文化を醸成していかなければならない。町の個性があるからこそ、そこにクリエイターが入っていきやすくなる。町のブランディングが大切」とのこと。スマートシティは便利だけれど、機能的な快適は得られても精神的な快適を得られるのか、という不安要素もあります。その両輪がきちんと動いている都市開発が今後必要になってきそうです。
クリエイターにとっての最良の“キャンバス”となり得る都市が、今後注目されていきそうです。