心のバリアフリーは一緒に考えることから始まる。お互いを知り、認め合う重要性
「FREEING MIND 尊重は知ることから生まれる。真のバリアフリーとは。」
11月10日(木) 18:50-19:35
<登壇>
今井絵理子(参議院議員)
中嶋涼子(車椅子インフルエンサー)
赤荻瞳(渋谷女子インターナショナルスクール校長)
長田新子(SIW エクゼクティブプロデューサー)
渋谷区は障碍の有無を問わず、誰でも街を楽しめる場所にすべく現在「渋谷駅周辺地区バリアフリー基本構想」を進めています。物理的なバリアフリーの推進はどの自治体も注力していますが、障碍のある方にとって、それだけで幸せになるのでしょうか。
本セッションでは、SIW エクゼクティブプロデューサーの長田、参議院議員の今井絵理子さん、車椅子インフルエンサーの中嶋涼子さん、渋谷女子インターナショナルスクール校長の赤荻瞳さんの4名が障がい者の方に対する我々のマインドも含めた、心のバリアフリーについて意見交えました。
中嶋さんが車椅子インフルエンサーになった経緯を語ります。
「私は9歳から原因不明で歩けなくなり、車椅子ユーザーになりました。初めて車椅子で街にでたときに、それまでどこにでも行けた場所にいけなくなりました。また、車椅子を使っている自分への周囲の目線が嫌で小学校3・4年生の時に引きこもりになったんです。そんな時に友達に誘われて当時はやっていた映画のタイタニックを見に行ったら、ドハマりしてしまい、車椅子になってはじめてもう一度外に出たいと思えるようになり、いつからか引きこもりも治って人に見られることにも慣れていきました。そして、いつか自分も映画で人にパワーを与える人になりたいと車椅子のおかげで思えたんです。
中学・高校は英語ばかり勉強しましたが、高校卒業後はアメリカで7年ほど映画の勉強をして、夢だったタイタニックの制作会社に入ることができました。ただ、7年もアメリカで生活した後に日本で暮らしていると、車椅子では生きづらいなと感じました。ロサンゼルスに住んでいましたが、そこでは様々な障がい者・人種の方が当たり前にいます。それが向こうでは日常で、変な目で見る人は誰もいません。しかし、日本に帰ってきて実感したのは、ここではマイノリティが生きづらいということです。自分は何も変わっていないのに、国が違うだけでこんなに変わるんだと。そこで車椅子の人がメディアに出ていればみんなも見慣れてくれて、車椅子の人に対する壁がなくなるんじゃないかと思い、5年前に映画の仕事をやめて、車椅子インフルエンサーになりました」
今井さんが政治家になったのは、障がいのある方を幸せにしたいという理由があるそうです。
「息子に生まれつき聴覚障がいがありました。どうやってその障がいに向き合えば良いのか考えたとき、障がいはひとつの個性だと思ったんです。この個性をいかせるような社会をつくりたいと思い、ボランティア活動を10年間続けてきました。その中で政治家にならないかとスカウトしていただき、チャレンジしてみようと思っていたので、政治家になって障がいのある方たちが笑顔で過ごせるような環境を目指して、活動させていただいています」
今井さんはバリアフリーを国会から変えていこうとしています。
「国会議員の中にも障がいのある方が選ばれています。また、国会中継ではこれまで、情報保障の観点で、中継は手話通訳の配置がありませんでした。そのため、耳の聞こえない方は国会での会話が聞こえなかったんです。そこで国会中継にも手話通訳が取り入れられました。障がいのある方でも政治に参画できるように、世界一のバリアフリーを参議院として予算をつけて国会改革を頑張っています」
個人として障がいのある方のためにできるアクションは何なのでしょうか。3人がそれぞれの考えを述べました。
「心のバリアをなくしていければと思います。ギャルは自分が個性的なので、他の人を差別しません。ギャルになる必要はありませんが、こういうマインドがあることを知ってもらって心のバリアフリーを実現してほしいです」(赤荻さん)
「私は知ってもらうことだと思います。ずっと小中高と一緒に過ごしてきた友達は大人になった今でもあそこに車椅子用のトイレがあった、段差があるけど車椅子担げばいける、と言ってくれるんです。車椅子の人と接したことがない方は私たちがどこにも行けないと思い込んでしまいます。障がいを知ってもらうことで、一緒に考えていくのが大事だと思います。街にスロープをつけるよりも、手伝いましょうかと言ってくれるほうが私は嬉しいです」(中嶋さん)
「人は家族であれ、恋人であれ他人を理解するのは難しいですが、その人を認めるのは誰でもできると思うんです。だから認め合う社会を障がい福祉の観点から広めていきたいです。すべての人が豊かになるための障がい者政策に、今後も取り組んでいきたいです」(今井さん)