“作り手と受け手の関係がフラットになり、クリエイティブの民主化が進む”
Web3のカルチャーデザインの在り方とは?
Culture Design
11.8(火) 13:00-13:50
@渋谷ストリームホール
<登壇>
ヨシフク ホノカ(DRELLA所属 イラストレーター・デザイナー)
中馬 和彦(KDDI株式会社 事業創造本部 副本部長 兼 Web3事業推進室長 兼 LX戦略部長)
金山 淳吾(SIWエグゼクティブプロデューサー)
現在、メタバースやNFTといったWeb3テクノロジーを活用したクリエイティブが私たちの社会に浸透しつつあります。
Web3時代へシフトする中、文化がどう生まれ、どう発展していくのか、そして渋谷の街はどのような役割を果たせるのかをテーマにしたトークセッション「Culture Design」では、KDDIの中馬和彦さん、SIWエグゼクティブプロデューサーの金山がイラストレーター・デザイナーのヨシフクホノカさんを迎えて、Web3時代に生まれるカルチャーやその時代のクリエイターの在り方について、意見を交わしました。
紙やペンではなく、iPadやInstagramといった現代のテクノロジーを活用しながら、イラストやデザインを制作・発表してきたヨシフクさんは、Web3によって、自分の活動の場が増えると語ります。
「例えば、バーチャル空間の中にお客さんを招き入れて、リアルタイムで絵を描いてるところを見てもらうことなども考えられるため、基本的にはポジティブに捉えている。またそういったことをすることで、リアルの個展に来てもらうきっかけになると思うので活用していきたい」
それを受けて、金山は「自分たちの時代のクリエイターは創作過程をみせずに成果をみてもらう。以前は作品にファンがついていたが、今は作家の人間性にファンがつき、そこから生み出される全ての時間がファンエンゲージになる」と現在の価値観の変化を指摘しました。
またヨシフクさんは、Instagramでファンに呼びかけて、そこで寄せられた意見に応じてイラストを描くこともあると言いますが、「ファンからアイデアをもらうことで自分では思い付かないようなものが描けることもある」と語りますが、そのようなファンコミュニティとのやりとりはWeb3とも通じるといいます。そのことについて、金山は「ファンコミュニティがある中でクリエイターと繋がっていると、ファンはヨシフクさんが描いたものでも、自分との共同作業に思える。それがWeb3の世界だ」と語りました。
日本のクリエイターはこれまで”徒弟制度”の中で技術を磨いてきた人も少なくありません。しかし、金山は今後、WEB3が浸透していくと「クリエイターの作業はある種の共同作業になっていく」と語りました。そのような変化が訪れる次の時代のクリエイター像とは、一体どのようなものなのでしょうか?
その質問に対して、「クリエイティブの作り手と受け手の境界が曖昧になり、関係性がフラットになる。それによってクリエイティブの民主化が進んでいく」と語ったのは中馬さん。続いて金山は、「これからはあらゆるクリエイティブワークをやる人たちが立体的にモノを作ろうと思った時にチーム編成されていく」との認識を示します。その上で、「そのチームの絆を経済的に支える技術がブロックチェーン、ファンと接続する技術がNFTと考えると、興味深いクリエイティブカルチャーのエコシステムができる」と語りました。
ヨシフクさんは「今後、チームとして作品を作っていきたいか?」という質問に対し、「完全にチームとしてやりたい。以前はそう考えることはなかったけど、今は自分のやりたいことをやるためには1人では限界がある。それにチームで和気あいあいとしたほうが楽しく制作できる」と答えました。
また現在のクリエイティブを巡る状況について、金山が「クリエイティブの原石を見つけやすい技術が備わったことで、例えば、NFTとして作品の価値を言語化するのか、イラストかするのかなどを方法をみんなが探している。今後はそうして見つけたものを拡張捜索する時代がやってくる」と説明した後、中馬さんは「Z世代の視点で過去の作品を再定義するようなことが今、起きている。全てがデジタルの基盤に乗ることでリマスターされる。それをフラットに考えられる人がいるのがweb3時代のコミュニティだ」と語りました。
今後、Web3に参入するクリエイターを増やしていくためには、このテクノロジーでどういったエコノミーやカルチャーを作れるのか。その学びの機会と情報をクリエイターに届けていく必要があります。また、そのような機能が渋谷に実装されることで、WEB3時代においても渋谷は新たなカルチャーやクリエイターとともに発展していくことができるのではないでしょうか?