“便利”だけでは人の心に刺さらない。エンタメテックがいま果たす役割——天野清之/中馬和彦/長田新子

「エンタメテックの現在進行形」
<日時> 11月10日(火) 12:30-13:30
<会場> SHIBUYA QWS

<登壇>
カヤックアキバスタジオCXO 天野清之
KDDI株式会社 経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部 部長 中馬和彦
モデレーター:
一般社団法人渋谷未来デザイン 理事 長田新子

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天野さんは、面白法人カヤックで、xR(VRやARの総称)分野の企画と制作、AIのキャラクターとバーチャルで触れ合うような体験型コンテンツなどを手がけてきたクリティブディレクター。中馬さんは、KDDIでオープンイノベーション事業などを担当。バーチャルシアターアプリを展開するスタートアップなどの支援、特に渋谷区と繋がりの深いところでは「バーチャル渋谷」プロジェクトにも参画されました。
バーチャル渋谷は、渋谷の街空間をデジタルで構築したもので、ライブやイベントなどを拡張体験できる、街を形にしたプラットフォーム。ふたりに共通するのは、技術やネットワークを駆使して、リアルでは体験できないエンタテインメントを創造、あるいはサポートしていることです。

リアルではできないこととは?——ひとつは「場所と時間を超える体験」。中馬さんは「バーチャル渋谷」を例に挙げこう話します。
「渋谷は、そこで集まり何かを体感する街だったが、(バーチャル渋谷では)そこに行かなくても渋谷を体験できる。今年1月には、VRを使って“56年前の渋谷にタイムスリップする”という企画も行い、ハロウィンの際はバーチャル空間でのイベントも。(コロナ禍の)社会を踏まえたアプローチとしても有効だった」

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一方で、非リアル空間での体験の追求は、制作や演出のあり方にも影響を与えたとも。たとえばアイドルのライブ配信。ステージに何千個のスマホを使って配信すれば、鑑賞者は好きなアングルや距離を自分でセレクトし楽しめます。
「S席以上の、“ドS席”。好きなアイドルに寄って見ることもできる。鑑賞者それぞれにこだわりや大切なポイントがあって、それを提供できるのがデジタルのいいところ」と中馬さん。天野さんも「最近つくったVRコンテンツは、アニメの主人公と一緒に遊べるというもの。完成された物語を一方的に見るのではなく、自分が主人公になれる。一本道のストーリーではない、より複雑な結末だったり、自分でエディットできるものだったり今ユーザーは、予想がつかない展開を求めている」。
また「(ライブ配信について言えば)アーティストから“自分を保存したい”という相談を受けたことがあった。バーチャルならば、自分のピークのパフォーマンスをいつでも再現でき、ファンとシェアできる。(こうした傾向を踏まえた)新しい発想」とも。

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現在、1日でネット上に投稿される画像は約18億枚とも言われ、“ずっとデジタルに触れている世代”は4割に近づいている時代。「価値観がかわる兆しにある」と天野さんは言います。中馬さんも「スマホでお店を検索してそこに行く。いわば起点としてデジタルコンテンツがあった。しかし、今バーチャルで完結するものが増えていて、その比重はより高まっていくはず」。

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そうした時に、エンタテインメント的な要素が重要だとふたりは話します。「“便利になりました”だけでは、人の心は打ちにくい。ワクワクすることから始める——そういうエンタメ(の本質や発想)をライブや演劇、映画などのシーンに留めず、それをベースにすれば、働き方、ひいては街づくりも変わるかもしれない」と中馬さん。
天野さんも「デジタルなくしてリアルはない。ITが、いろいろな産業、分野で活用されるようになっている。全てがネットに繋がっている時代。そうやって繋がっているものを、どう面白いものにできるかが大切になってくる」。

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