ストリートスポーツの次世代が活躍できるまちづくり 〜渋谷公園通りエリアの未来〜
<登壇>
Shigekix BBOY
Miyu ダンサー
田丸尚稔 渋谷ユナイテッド アドバイザー
早川聡彦 渋谷公園通り協議会 事務局長
小澤広倫 東急不動産株式会社 都市事業ユニット 渋谷開発本部 プロジェクト推進部 統括部長
長田新子 一般社団法人渋谷未来デザイン理事・事務局長
渋谷以外の場所に住みながらも日々の練習は渋谷で行っているというShigekixさんにとって、渋谷はライフスタイルの中心になっている街だと語ります。「流行を含め、最先端は渋谷にある」というShigekixさんは、渋谷をストリートカルチャー全般において、若者にとって誇れる場所だと考えています。
一方、渋谷に住みながら活動するMiyuさんは、渋谷をいつも自分がいる当たり前の場所だといいます。渋谷はダンスの聖地と言われてきましたが、Miyuさんにとって、渋谷は特別な場所というよりは生活の一部になっています。
普段はダンスの練習スタジオにいることが多いというMiyuさんですが、以前は渋谷にある公共スペースに練習に出かけ、その場で繋がりを持つことができたと先輩のダンサーから聞いたことがあるといいます。しかし、今はそういう場所がなくなってしまったため、多くのダンサーは「練習スタジオで自分の練習だけして家に帰る感じになっている」と述べました。
一方、渋谷のジムで練習しているというShigekixさんは、そこで練習している人とフィジカルに出会うこともあれば、ジムのSNSを通じて知り合うこともあるといいます。
「自分がそのジムに通っていることを知ってもらうことで人との交流の機会が生まれている。大会に出ればアスリート同士で繋がることがある。一方でSNSは趣味でダンスをやっている人と知り会えるコミュニティとしても機能している」
若い世代のコミュニティに関する意見を受けて、田丸さんはこう語ります。
「例えば、子供たちが運動する場所となるとやはり体育館や校庭になってしまう。そういった場所はコミュニティではあるものの、閉じられている印象がある。そういった場所でもダンスのスキルアップ自体はできるが、教育的にはいろいろな人が集まって交流できるオープンな場所の方があった方がいい」
公園通りでストリートスポーツの普及に取り組む早川さんは、その理由として、公園通りが持つ文化的な背景を挙げました。
「元々公園通りにはレコーディングスタジオやライブハウスがあり、そこから巣立っていったミュージシャンがいたり、ファッション業界とも繋がりが強い。また今はストリートカルチャーに関わる人のお店があるなど、ストリートスポーツを受け入れる土壌がある」
一方、小澤さんはストリートスポーツの魅力として、身近に応援できる良さを挙げつつも、事業者としては、そこに集まる人々による迷惑行為に対する懸念もあるとだろうといいます。その上で小沢さんはこう述べました。
「地域コミュニティからするとストリートスポーツの応援をする人の中には迷惑行為をする人がいるというイメージを持つ人もいる。でも、実際にはそうは言い切れないと思う。お互いにWinWinの関係性を構築していき、街と一緒に才能を開花させていくべき。ただ、そういうことはストリートカルチャーの土壌がある渋谷でないとなかなかむずかしい。そういう環境を作っていく方法をストリートスポーツ、地域の諸団体、事業者・スポンサーが一緒に考えていかなればならない」
また田丸さんは、ストリートスポーツをこれから盛り上げていくためには?という話題に及ぶと「ストリートスポーツだからこそできる形として、みんなが一緒に踊ったり、自由にやれるということがある」と発言。
「人種の壁や年齢を超えるためにストリートスポーツの強みを生かしていく。多くの人にそういう体験をしてもらうためにひとつひとつ実験を重ねていく必要がある」
最後にShigekixさんは、今後はストリートスポーツを知るきっかけになる場を作っていきたいと発言。その上で「自分だけでやっているだけでは難しいので、企業や事業者とも連携しながらやっていくことが大事。地域と交流できるイベントを渋谷区には引き続き企画してほしい」と述べました。
またMiyuさんも「ダンスをはじめ、ストリートスポーツは人に生で見てもらってはじめて理解してもらえる。そういう場をもっと作っていきたい」としたうえで、「コミュニケーションはスタジオのような仕切られた場所では生まれにくい。コミュニケーションが生まれる場が渋谷にもっと増えていってほしい」と期待を込めました。
今後、渋谷に集まるアスリート、地域住民、事業者の全てがWinWinになれる関係性が築き上げられることで、今以上に渋谷と親和性が高いストリートスポーツが街の文化として浸透していくのではないでしょうか?