空気で学びをアップデート!? ダイキンと考える『未来の学校』
<登壇>
石原隆広 株式会社point0 代表取締役社長
松澤理紗子 ダイキンHVACソリューション東京株式会社
山田裕介 渋谷区立小学校PTA連合会 会長
子供達が自発的に興味を持って学ぶ未来の学校とは? そのあり方を考える
渋谷区が掲げる「未来の学校」に賛同するダイキンは、未来の学校を「子供たちが自発的に興味を持って学べる学校」と捉えています。現在、渋谷区では旧来の詰め込み式授業は午前中に済ませ、午後は子供たちが自由に興味があることを勉強する学校が増えています。
そのような傾向を踏まえたダイキンのアイデアは、学校全体を学びの場にするということ。このことについて、石原さんはこう説明します。
「子供たちにダイキンが持つ施設の空調をオンラインで操作するシステムをはじめ、照明や放送機器、子供達の位置情報など、いろいろな情報を提供し、それらを自由にプログラミングしてもらうことで学校全体を学びの場にしてもらう。例えば、学校設備とプログラミングをかけあわせて、クラス対抗省エネ選手権をやってもらうなど、ゲーム性をもたせながら、楽しく省エネを学んでもらうことができる」
学校という場はひとつの社会であり、OSと捉えられると考える山田さんは、教育とは学校というOSの上にアプリを足していくようなものだと説明した上で、「未来の学校というものを考えたとき、その中で子供たちがプログラミングを学ぶことは外せない」と述べました。
また、石原さんは子供たちがプログラミングを学び、それを習得していく様子を見ることによって、今までプログラミングを学んだことがない先生達にとっても学びになるはず、と述べます。
対して山田さんは少し別の意見も提示。
「本来先生に求めることはそれぞれの子供たちの特性を理解してもらうということ。学校というOSのなかで、それぞれの子供たちに合ったアプリを提供していくことが役目だと思う。また、地域社会の力もうまく使って、学校を“共創空間”にしていくという発想が大事」
ここで石原さんが山田さんに、ここまで紹介したダイキンのアイデアは現実的なものかどうかを質問。それを受けて、山田さんはこういいます。
「自分の子供が通う渋谷区の学校では、先生からの課題に対して、子供達がインターネットで検索し、そこで見つけたものをTeamsで共有するなど仕事のプロジェクトチームのような学び方をしている。だからプログラミングを教えていくこと自体は実現可能だと思う。ただ、STEAM教育でいえば、子供達にとってはプログラミングのようなエンジニアリングの話よりも、アートの部分の方が大切」
ではなぜ子供達の教育にはアートの部分が重要になるのでしょうか?その理由を山田さんはこう説明します。
「アートの部分がないと子供達は解決策だけを考えてしまうことになる。何のために解決策が必要になるかを考えないと社会に出ても武器があるのに使えない状態になってしまう。子供達の創造性を大切にし、発想を限定しないことが重要です」
最後に今回のトークセッションを振り返り、石原さんは「ダイキンは真面目な会社だから、今後は子供達のあそび心について真面目に考えていく必要があると思った」と述べました。山田さんは「子供たちは天才。大人が何も提供せずとも場所だけ与えればいい。その中にいい学びやアイデアの原石がある」と述べました。
これからも渋谷では「未来の学校」のあり方を巡り、さまざまなアイデアが寄せられることになるでしょう。今後の議論の進展が楽しみです。