〜北欧2国から学ぶ〜ダイバーシティを取り込み、新たなアイディアを創発する方法
<登壇>
Niina Väisänen フィンランド大使館 一等書記官(経済・通商)
Ragnar Thorvardarson 駐日アイスランド大使館 公館次席
長田新子 一般社団法人渋谷未来デザイン 理事・事務局長
寺西藍子 indigo株式会社 代表取締役社長
ダイバーシティは社会や人々にとってなぜ重要なのか?
フィンランドとアイスランドの事例からその理由を学ぶ
このセッションでは、フィンランド大使館のNiina Väisänenさん、アイスランド大使館のRagnar Thorvardarsonさん、indigoの寺西藍子さんが登壇。多様性の重要性やそこから生まれるアイデア、多様性がもたらすビジネスへの恩恵などについて、フィンランドとアイスランドの取り組みを例に紹介されました。
ジェンダーギャップ指数や幸福度ランキングの上位に位置し、多くのスタートアップが誕生している北欧の2カ国、フィンランドとアイスランド。この2カ国では、教育は無償で提供されており、国民は生涯にわたり学び直す機会を持つことができます。
NiinaさんとRagnarさんは、自国での取り組みを例に多様性が新しいアイデアとビジネスの成功につながると話します。その理由は、多様性は新しいアイデアの源となるから。LGBTIコミュニティを含むさまざまなバックグラウンドや視点を持つ人々が集まることで、より創造的なアイデアが生まれやすくなり、企業やスタートアップなどの競争力が高まり、それは国の将来の成長に向けて重要な要素となります。
では、フィンランドとアイスランドから見て、日本のダイバーシティの現状はどう捉えられているのでしょうか?
Ragnarさんは「日本の企業の経営陣や政治家にはより多くの女性を含める余地がある。LGBTIに関連する多様性は、企業にとっても政治家にとっても重要なことだと強く認識する必要がある」といいます。
また、LGBTIの人々が社会により多く参加することには経済的な効果もあるとRagnarさん。そうしないと国のGDPの1%が失われてしまうのだとか。それを踏まえてRagnarさんは「これは人権の問題だけでなく、経済の問題でもある。多様性を受け入れ、より包括的になることで、経済的な利益を得ることもできる」という見方を示しました。
一方、Niinaさんは、LGBTIのような多様性の問題に関して、渋谷では非常に印象的な取り組みが行われているといいます。
「日本の草の根運動には本当に感銘を受けた。多くの人がこれらのことを非常に強く意識していると感じる。日本にはこのようなポジティブなムーブメントがたくさんある。それだけにこういった取り組みがもっと広く社会に反映されることを期待している」
また、Niinaさんは多様性が定着するためには文化的な変化も必要になるとの認識を示し、「たとえば女性の首相が誕生するなど、多様性の例となるようなロールモデルができ、それが当たり前になる環境が生まれると、女性が社会で活躍することに誰も疑問を抱かなくなる」と述べました。
今後、ダイバーシティにあふれた社会を目指す上で、多様性が国家を支えている北欧2国における取り組み事例や提言からは、学ぶべきことがまだまだ多くあるのでしょう。