Special Session|東京アイデア会議「渋谷から東京の可能性を考える」
<SPEAKER>
千原徹也
アートディレクター/株式会社れもんらいふ代表
鹿毛康司
株式会社かげこうじ事務所 代表取締役
マーケター/クリエイティブディレクター)
天野春果
川崎フロンターレ タウンコミュニケーション部 部長
ライラ・カセム
一般社団法人シブヤフォント アートディレクター
若宮正子
ITエバンジェリスト
古田秘馬
プロジェクトデザイナー/株式会社umari代表
米澤文雄
The Burn 料理/株式会社 No Code 代表
杉浦小枝
渋谷区副区長
里村明洋
アドビ株式会社 マーケティング本部 常務執行役員/シニアディレクター
村松亮太郎
NAKED Inc.代表
金山淳吾
SIWエグゼクティブプロデューサー
一般財団法人渋谷区観光協会 代表理事
長田新子
SIWエグゼクティブプロデューサー
一般社団法人渋谷未来デザイン 理事 兼 事務局次長
立場も年代も性別も異なる10人による100様のアイデアが噴出。渋谷が持つポテンシャルとは?
SIWの最終日である11月14日(日)に行われた『東京アイデア会議「渋谷から東京の可能性を考える」』は、金山淳吾が「今回絶対にやりたかった」と冒頭で語ったように、多種多様な業界から専門家10人が集まった豪華なアイデアセッションとなりました。
渋谷区副区長の杉浦小枝さん、「The Burn」料理長の米澤文雄さん、81歳のときにiPhoneアプリを開発し世界最高齢のプログラマーとして知られるITエバンジェリストの若宮正子さんをはじめ、トップクリエイターやマーケターと、多様な自己紹介からスタート。それぞれの濃いキャリアと個性が溢れる自己紹介に、このセッションからどんなアイデアが飛び出すのか? と期待に胸が高まります。
まず金山がスピーカーそれぞれの活動にまつわるキーワードに沿ったプレゼンテーションを順に促していきます。まず米澤さんが自身の経営するサスティナブルグリルや、これまでの経験から食に関する現状を切り出すと「音楽やファッションのイメージはあるけど、渋谷で食をイメージすることは少ないよね」と古田さんが声を上げます。今は、笹塚のマルシェや地ビールなどが展開されるほか、ワインの企画もあると杉浦さんが説明した通り、「渋谷の食」のプロジェクトは決して少なくないものの、これからどのようにブランディングしていくかが重要となりそうです。
その後、千原さんが2018年にサザンオールスターズ40周年のタイミングで開催した音楽イベント「勝手にサザンDAY」の話を展開。「勝手に=自由に」という文脈と、千原さん自身がサザンオールスターズを大好きだから、という背景から実現したこのイベント(所属事務所には許可を得た)は、大きな反響があったと話します。またクリエイティブディレクターの鹿毛さんは、「東京へのLikeをLoveに変えたい」と話します。
「東京にはアートもイベントもライブも料理もなんでもあるから、とても便利。でもそのぶん、都合のいい都市で終わっている。アートも建物も作った人がなかなか見えてこないからLoveが生まれてこない。渋谷にきたら、Loveがひとつある、そんな街にしてみてはどうだろうか?」(鹿毛さん)
それに対して金山は「確かに機能的に便利だから住んでいる」と頷きながらも「コロナによってそれも変化している。じゃあ、東京に住むバリューとは何か?」と問いかけます。そこで“感動資源”はあるか?という話題から、クリエイティビティとトレンド、インフォメーションテクノロジー、教育……など話題が常に変化しながら展開されていきます。
その後、画一性・同調性に話題は転じ、杉浦さんが「会社や社会が多様な人材の受け皿となれば、子供たちがやりたいことを我慢せず、たくさんの選択から道を選ぶことができるようになるのではないか」と問題提起すると、他のスピーカーからは自然と大人が型にはめる教育をしていること、人口オーナス期には一元的な管理が効率的だったことなどの原因分析がなされ、若宮さんは現在の日本の街の多くは似たようなチェーン店、似たような条例ばかりの“コピペタウン”になっていると指摘。地域の個性を創出していくことの難しさが浮き彫りとなります。
「渋谷から東京の可能性を考える」のテーマ通り、10人の立場と視点から何十通りものアイデアが出続け、本セッションは予定の時間を大幅に超えて終了。渋谷のポテンシャルを多角的な視点で見つめ直した結果、新しい発見はもちろん、原点回帰の発想もあり、多様なメッセージが凝縮された2時間超となりました。
金山が「来年もやりたい」と希望と口にしたように、まだまだ聞き足りないと感じるくらいだった内容の濃いセッション。確かなことは、渋谷には可能性が溢れているということ。来年のSIWにも期待が持てる最終日のセッションとなりました。