変わり続けるシブヤ系まちづくり

Long Panel Discussion
「変わり続けるシブヤ系まちづくり」
<SPEAKER>
林 千晶
株式会社ロフトワーク 共同創業者 取締役会長
佐藤夏生
EVERY DAY IS THE DAY Creative Director / Co-CEO
高橋 聡
CCC公共サービス企画事業本部長
奥森清喜
株式会社日建設計取締役 常務執行役員都市部門統括
長田新子
SIWエクゼクティブプロデューサー
一般社団法人渋谷未来デザイン 理事・事務局次長

未来のまちの在り方と人のつながり、地域の特色から考えるシブヤ

100年に一度と言われる都市開発を進めている渋谷。建物、駅、人の流れなどあらゆる面での変化が生まれていますが、まだこのプロジェクトもようやく5合目あたりと言われています。
仕事で毎日渋谷に訪れている方も、頻繁に遊びに来ている方も、久しぶりに渋谷に来たらその変貌に驚いている方も、その計画に直接関わっていないと、なかなかまちづくりの目的やストーリーなどの裏側は見えてきません。
そんな中、まちづくりに関わった方々の貴重な対話を収めた本「変わり続ける!シブヤ系まちづくり」(編・著:渋谷未来デザイン)が完成。本セッションは、渋谷のまちづくりのキーパーソンを交えて、まちづくりの本質と今後について議論が交わされました。

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アイデンティティの分化が進むなか、コミュニティとまちはどう変化するか?

スピーカーの方々が自己紹介を兼ねて、自身のまちづくりに対する考え方を述べていく冒頭シーンで、佐藤さんが語った“未来”の捉え方がディスカッションの起点となっていきます。

「フューチャーデザインにおいて、未来というと“まだ見ぬ何か”を想像しがちですが、僕は未来に残しておきたいものを考えるようにしています。子どもたちに何を残すか。またデザインにおいては、支配的、作為的ではなく、よい土があれば植物が自然と生えてくるように、土壌づくりを意識しています。アイデアにおいても、10年、20年残るような育つアイデアを考えるようにしています」(佐藤さん)

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未来をデザインするというと、空飛ぶクルマなどを想像しがちですが、革新的な技術イコール未来ではない。その意見に「普段、佐藤さんとは意見が合わないことが多いけど(笑)」と冗談を飛ばしながら、林さんもこのように賛同します。

「今ない何かを置きたがるけど何を守っていくのかが大事で、そのためにテクノロジーが貢献する。テクノロジーの貢献自体が目的ではない。渋谷をつくっているのは誰なのか? 区民はもちろんそうだけど、渋谷に遊びに来る人、仕事で来る人もこの街をつくっている。区民だけではない人たちを巻き込んだまちづくりのデザインをしたい」(林さん)

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その後、民間と行政が共同で図書館運営をしたことで話題となった佐賀県武雄市のプロジェクトを主導した高橋さんが、図書館ができたことで人の流れが変わり、人の流れができたことで地域に変化が生れた事例を紹介。そして、どのように地方と都市はつながるのか? 地域の特色をどう活かしてまちづくりをするのか? のテーマでアイデアが出されていきます。

「現在、コンビーフが売れたり、フィルムカメラが売れたりする現象があって、僕はスモールストロングと呼んでいます。これを実現するにはクレイジーなまでにその商品を愛している人が鍵で、大企業だからといってできるわけではない。」(佐藤さん)

「岐阜県の長良川は、自然が豊かでアクティビティも豊富だった。まだ実現していないけど、長良川上流の株主を募集する動きを計画しているとのことで、株主になると長良川で自由に遊べたり、宿泊できたりと公共のサブスクリプションサービスになりそう。同時にその資金で自然を守っていく。これからもっと地方それぞれの魅力や特色を活かした動きが顕著になっていくのでは」(林さん)

話題は、普及が進んでいるふるさと納税や二拠点生活と絡めながら、個々人の興味対象や地域の特性などコミュニティの“分化・共存”がより進むのではないか、と議論は発展していきます。

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「○○県民、○○好きのようにアイデンティティが小単位化しているのを感じる。まちづくりは個人の集合体としてのデザインが必要」(高橋さん)

「以前までは、故郷や血縁のつながりが重要だった。でも、いまは独身も多くなっており、家族というコミュニティも減っている。その人たちがどうやってつながっていくか、というと自分の興味領域でコミュニティができていく」(林さん)

「個人、家族、場所が分化していくと、地方と都市の対立構造も変わっていき、二項対立ではなくなる。多様なテーマで人がつながっていくなかで、土地が持つパワー、エネルギーが人を惹きつけていくのではないか」(奥森さん)

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シブヤの魅力やアイデンティティとは何か? 改めて原点を振り返る

では、今までの議論を通じて、渋谷のまちづくりをどう考えるのか? 高橋さんは地方創生に携わってきた経験から問題提起をします。

「地方に行くと、テレビのチャンネルが少ないので地上波は観ないで、NetflixやYouTubeを見ている。つまり東京や渋谷より、海外のカルチャーやアーティストを身近に感じている可能性が高い。また地方は投票率が高いので、1票がまちを変える感覚があるが、渋谷は自分が関与している意識を醸成しにくいのでは?」(高橋さん)

「先ほどスモールストロングというキーワードが出たが、一方でネットワークストロングも存在する。そこにシビックプライド。このバランスを考えなければいけない」(奥森さん)

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若者のまち、文化のまち、人によって抱くイメージも多様である渋谷の“らしさ”をどう表現していくのか? そのテーマは、現在進行中の都市開発の原点でもあります。本セッションの帰結は、その原点をスピーカーや視聴者の皆さんと改めて共通認識化し、邁進していく決意表明ともなりました。

「建築家の内藤廣さんが、渋谷をイメージするときに丸の中にいっぱい人を描いたんです。その人たちはみんな違う方向を向いている。内藤さんは『これが渋谷です。バラバラな方向を向いているけど小さくどこかでつながっている。だから“アーバンコア”です』(アーバンコアについてはぜひ検索していただきたい)。多様な人々が移動している姿を見られるまちづくり。建築家もバラバラでいい、あえてカオスをデザインしている」(林さん)

「ダイバーシティは気持ち悪さを許容することだと思っている。アメリカだと歩きながらアップルパイ食べてたり、上半身裸で歩いている人がいても気にならないように、渋谷も奇抜が許容される」(佐藤さん)

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将来、ネットワークによって地方と都市に情報格差がなくなり、それぞれの地域の魅力、シビックプライドをどう醸成していくのか。その時代において渋谷はどのようなまちづくりを目指すのか?

都市デザインは、冒頭に佐藤さんが発言したように作為的・支配的なものではなく、渋谷に訪れる方々と一緒に形成されていきます。
今後、渋谷がどのようなまちとなっていくのか、改めてワクワクさせられる2時間となりました。

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