インスピレーションを与える食、そして料理人の役割——松嶋啓介/古田秘馬

「食文化の未来図」
11月11日(水) 15:30-16:30
@オンライン配信

<登壇>
KEISUKE MATSUSHIMA オーナーシェフ
松嶋啓介
プロジェクトデザイナー/株式会社umari代表
古田秘馬

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20歳で渡仏。2002年、25歳で南仏ニースに店を持ち、3年あまりで日本人として史上最年少でミシュランの星を獲得した松嶋さん。近年は、食を軸にした社会貢献活動にも力を注がれています。このセッションでは、松嶋さんがいるニースと渋谷をオンラインで繋ぎ、松嶋さんとも交友が深く、食育型のレストランのプロデュースも行う古田さんが聞き手役になって進められました。

議題のひとつは「ポスト・コロナ時代に料理人の役割はどう変化するのか」。
松嶋さんは、そもそも料理人は社会変化から生まれた職業だと言います。「欧州で封建社会が崩壊し、貴族の料理の世話をする女性が職を失った。それで街場で商売を始めたのがレストランの起源。料理人はその時代の変化に対応しながら食に関わってきた。そう考えると料理のノウハウを使って、違うかたちで食に取り組む人がいてもいいとも思う」。

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一方で、松嶋さん自身はコロナショックのずっと前から、自分の料理人としての新しい役割に挑んできたそう。そのひとつが「UMAMI BANK」。旨味、とくにそれを増加させる保存食に注目し、その伝統的なレシピなどを学んで、預かり、銀行のように運用していくプロジェクトです。

「世界を旅して気づいたのが、どの国も自分たちの保存食を大事にしていること。保存の工夫がないと冷蔵庫のない時代に定住できなかった。保存食に含まれている旨味、その国の中心的な旨味は何かと考えていくと、人間が食材や自然とつながりながら歩んで来たのがわかる。それを世界に伝えていきたいなと」

イタリアで起こったルネッサンスを例に挙げながら、“食の未来”は、新しいものを生み出すだけでなく、昔からあるものを見直し、気づくことでもその可能性は広がるのでは、とも話します。
“美味しい”という味覚だけでなく、健康やコミュニケーションと食との関係についても話を展開する松嶋さん。食は人にインスピレーションを与えてくれる存在だとも言います。

「(近年、企業の経営会議などに他分野の人間が招かれるようになっている傾向を踏まえて)いろんな人が集って、考えないことには新しい発想は生まれない。そういうときに力になってきたのが実は食事。会食だったり。場や味わうことの感動を人と共感することで得られるものもある」

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そもそも、興味とは、味を興(おこ)すと書きます。「僕が今、興味があるのは“アフター”コロナではなく“ビフォア”。今なぜこの食のかたちにたどり着いたのか。それを探求し、しっかり整理していくと自然と未来に続くんじゃないかな」

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