「介護3.0」とは何か。新しい介護現場にみる“持ちつ持たれつ”の関係——横木淳平/古田秘馬

「優しい社会の作り方」
11月11日(水)17:00-18:00
@オンライン配信

<登壇>
介護付有料老人ホーム新 施設長
横木淳平
プロジェクトデザイナー/株式会社umari代表
古田秘馬

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約50人いる利用者のうち誰一人もオムツを着用しない介護施設があります。栃木県下野市にある介護付き有料老人ホーム「新(あらた)」。施設長である横木淳平さんは、その理由をこう答えます。
「オムツ処理は、その人のプライドに関わる問題。介護する側にとってもいい仕事ではない。ではどうするか。トイレに行きにくいからオムツをするのではなく、排尿パターンをデータ的に分析して把握し、トイレに連れて行ってあげればいい」

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このセッションでは、横木さんが提唱する「介護3.0」について、プロジェクトデザイナーで、SIWフェローもある古田さんが聞き手役になって進められました。
ところで「介護3.0」とは何でしょうか。横木さんは「その人らしい生活を取り戻すための手助けをする。そして夢を叶える」介護だと言います。そのために、通常ならば問題行動とされる行為も、なぜそうなったのか、本当は何をしたいのかを考えて解決していくとも言います。

「夜間徘徊するおばあちゃん。なぜ、夜に出回るかというと、昼間は見守りスタッフがたくさんいて自由に歩き回れないから。スタッフが少なくなる夜がチャンスだったわけ。それを理解し、昼間、自由に行動してもらうようにしたら、夜ぐっすり寝るようになった」
こういう発想の転換、スタンダードを変えていこうと思ったのは、施設を立ち上げた当初の、ある出来事がきっかけだったと横木さんは言います。
「スタッフもバタバタしていて。そのとき入居した96歳のおばあちゃんが割烹着を着て厨房のスタッフに手際を教えてくれた。居場所を作る。そのために役割を用意してあげる。持ちつ、持たれつの関係を築きながら、一緒に生活することが大切」

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こうしたことは介護だけでなく、教育現場や地域づくりにも当てはまるのでは、と古田さん。とりわけ、高齢化社会が進む日本では、介護を自分ごとだと捉えていくことも大切だと提言します。
「誰もが年をとる。介護が自分の遠い未来にあるものと捉えず、病気の未病予防のように今から考える、またそういったことを社会の中に取り込むことは重要になってくると思う」

横木さんは「介護代行ではなく、介護応援の時代にシフトして行きたい。今あるサービスは代行。そうではなく僕たちプロがサポートしながら、家族や地域が一緒に介護をするという形ができればいい。それが同時にまちづくりになったりするかもしれない」と未来への希望と可能性を語ってくれました。

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