<SPEAKER>
藤本真衣
株式会社グラコネ 代表取締役
せきぐちあいみ
VR/NFTアーティスト
馬渕邦美
PwCコンサルティング合同会社 マネージングディレクター
長田新子
SIWエクゼクティブプロデューサー
一般社団法人渋谷未来デザイン 理事・事務局次長
NFTで広がるエンターテインメントと渋谷の可能性
渋谷では昨年、メタバース(仮想共有空間)「バーチャル渋谷」が始動。2021年もハロウィーンには、コロナ禍にあって「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021」が開催されました。アニメやアーティスト、企業とのコラボによる様々なイベントが用意され、世界中から合計55万人がバーチャル上で渋谷のハロウィーンを楽しみました。
我々のライフスタイルが大きく変化する現在、「バーチャル渋谷」のように新しい価値やコミュニケーション、概念も次々に登場しています。そのひとつにNFT(Non Fungible Token=非代替性トークン)があります。本セッションでは、新しいアートの形として注目を集めるNFTの未来について3名のゲストを迎えてお送りしました。
まず馬淵さんがNFTについて「デジタルデータはこれまでコピーが可能であったが、ブロックチェーンの技術を活用することで、代替不可能な固有の価値が生まれた。つまり資産となった」と説明します。仮想通貨を筆頭にブロックチェーンは現在活用の幅が広がっていることについて藤本さんがこう続けます。
「仮想通貨は、チャリティと非常に相性が良いんです。これまで募金やチャリティも誰のお金がどこを経由して、どの団体に届けられたのか、が不透明なことも多かった。チャリティに仮想通貨を活用することで透明性を持って運用ができます。NFTはいわばデジタルデータの証明書で、唯一無二のものであることを証明できるので、海外を中心にアート作品において多様な活用がされています」
実際に2021年3月にNFTアートが、オークションで約75億円にて落札されたことが話題になりました。VR/NFTアーティストとして国内外で活躍するせきぐちあいみさんは、NFTアートの出現はアーティストにとって非常にエポックメイキングであることを強調します。
「デジタルによるアート作品は、NFTを始めるまでそのまま売ることができませんでした。コロナの感染が拡大したことがきっかけでNFTアートを始めて、約1,300万円で落札された作品もありました。現在はアートだけではなく、メタバース内での展開がどんどんと拡大していて、コミュニティも生まれています。NFTが当たり前の時代は必ず来ると確信しています」(せきぐちさん)
現在は、アート作品、音楽、ゲーム内のアイテムなど様々なデータにNFTが連携し始めており、そのことを象徴するエピソードとして藤本さんがフィリピンでの例を挙げます。
「フィリピンは銀行口座の数より、『Axie Infinity』というゲームのウォレットの数の方が多い。ゲーム内で仮想通貨を獲得したり、NFTアイテムを売ったりできるのが特徴で、コロナで仕事を失った人がゲーム内で稼いで生活をするという事例も話題になっています」(藤本さん)
渋谷は、音楽、アート、ファッションなど文化の街としての一面を持っています。この街から今後どのようなエンターテインメントが生まれ、またそこでNFTはどのように活用されていくのか? あらたな可能性が垣間見られたセッションとなりました。