無意識下で生じる“ものの見方”のズレと補正に気付くこと ——「アートとデザインの境界」
開催: 9.21(土) 渋谷ヒカリエ 8/COURT
“多様な未来を考える12日間”「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷」
(
https://fds2.heteml.net/social-innovation-week-shibuya.jp/2019/)
「アートとデザインの境界」
2019年9月21日(土)14:30〜15:15
渋谷ヒカリエ 8/COURT
<登壇>
アーティスト
東京大学先端科学技術研究センター中邑研究室客員研究員
武蔵野美術大学空間演出デザイン学科准教授
鈴木康広
「アートとデザインの境界は、あるような、ないような…常に行き来しているものだと思うんです」
こう語るのは、アーティストの鈴木康広さん。鈴木さんは日常の見慣れた事象に新たな切り口を見い出す作品を制作し、ものの見方や世界の捉え方について問いかけます。
鈴木さんが准教授を務める武蔵野美術大学で、個人の感覚だけで定規の長さを考える「自分センチ定規」という授業を行ったエピソードでは、アートの可能性について言及しました。
「定規はみんなと認識を合わせるために便利な、すごく社会的なものだと思います。でも、定規なしで線を書くと、みんなが自信を持って書いた1センチがバラバラなんですよ。比べてみると2倍も違うこともある。人によって感覚がずれているということが可視化できて、とてもおもしろいんです。
その人の中にある抽象的な感覚が、アートとして現れる方法が増えればいいなと思っています」
鈴木さんはなぜこれだけ、ものの捉え方にこだわるのでしょうか。
「『ファスナーの船』という作品があるのですが、東京湾を進んでいく船がファスナーに見えたことから着想を得ました。こういったものの見方は、僕だけの特別な能力ではなく、多くの人の中にもあるんじゃないかと思います。それを知らず知らずの間に“正しく”補正してしまっている。その力が“社会”なんじゃないかと。それって恐ろしいなと思っていて、僕はその補正を外したわけです」
今回のDIVE DIVERSITY SESSIONでは課題解決型のセッションが多い中、問題提起型のトークが繰り広げられ、会場は独特の雰囲気に。
私たちも現実をいつもと違う視点で見てみると、社会の捉え方が変わってくるのかもしれません。