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観光と両立してはぐくむ、暮らしの美学とシティプライド ——「京都×渋谷 持続可能なまちづくり」【SIW2019レポート】

開催: 9.17(火) 渋谷ヒカリエ 8/COURT

“多様な未来を考える12日間”「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷」
https://social-innovation-week-shibuya.jp/2019/

DIVE DIVERSITY SESSION
「京都×渋谷 持続可能なまちづくり」

2019年9月17日(火) 17:00〜17:45
渋谷ヒカリエ 8/COURT
<登壇>
京都市長 門川大作
渋谷区長 長谷部健
<ファシリテーター>
株式会社フューチャーセッションズ/代表取締役社長
一般社団法人渋谷未来デザイン/フューチャーデザイナー
野村恭彦



門川京都市長と長谷部渋谷区長。「“市民協働”を政策の中心に置いて未来を模索しているであろうおふたり」とファシリテーターの野村さんが語る、注目の組み合わせでのDIVE DIVERSITY SESSION。

まず、京都市と渋谷区の違いと共通点はどんなところなのでしょう。
門川さんは「京都は千年を超えて都市機能が継続しているおそらく世界で唯一の都市ではないか」と語り、
長谷部さんは「渋谷は逆に、街として賑わうようになってから百年経っていないと思う」とすると、
野村さんは「街が永きに渡り持続可能であるためには様々な問題があり、オーバーツーリズムの問題もそのひとつ。これはふたつの都市が共通して抱えている課題でもありますね」と指摘。



「京都は季節と場所によって数カ所のスポットに局地的に観光客が集中してしまう。ビッグデータやAIを使って他の満足度の高いスポットへと観光客を誘導し分散させる施策を行っています」と門川さんは語った上で、「しかし京都は観光都市ではないとさえ思っている」と、一見意外な発言も。
「京都の街は観光のために出来たものではありません。市民の暮らしの美学を大切にしてきました。そこへ訪れる方々が魅力を感じておられるんです」



長谷部「オーバーツーリズムと街に暮らす人たちの問題でいうと、渋谷もいまは空いている日というのがない。たとえば高齢者の人のなかには、駅周辺に行くのがこわいという人もいます」



門川「観光都市が文化を壊すようであってはならない、と思います。 12月に京都で国連世界観光機関(UNWTO)とUNESCOが『観光と文化をテーマとした国際会議』を開催します。この会議において、観光と文化の相乗効果でSDGsの実現を目指して“京都宣言”というものを出したい。住民は街に利便性を、しかし旅人は街に非日常を求めるもの。そんななか街のオリジナリティは住民主体にして持続させていこうということを、宣言として世界の観光都市に対して提案したいと思っています」



長谷部さんは、京都に住む人は街への愛が強そう、としながらも「渋谷も、渋谷愛がある人が街を変えていく。渋谷区と京都市が繋がって、市民が互いに情報交換しながら街をつくっていける仕組みがあるといいですね」と語ります。また、その際の行政のあり方として、次のようにも。
「そういうことを行政が主体になって進めると失敗しやすい。市民にきっかけを与えること、まさに(SIWのテーマである)ニュー・ルールをつくるところまでが行政の役割だと思う」

渋谷の人たちが京都で何ができるか、京都の人たちが渋谷で何ができるか。互いにそれを考えていくことができたら——ワクワクする未来の可能性がみえてきます。

門川「それなら、京都の花街に残っている節分の仮装のおばけ、これを広げるために毎年節分の日に渋谷で仮装をやったらいいのでは?」
門川さんの突然のアイデアに、長谷部さんは「ハロウィンだけじゃなくて、節分も!? 大変だなあ〜!(笑)」と、会場の笑いを誘いました。



京都と渋谷。これをきっかけに、あたらしい具体的なイノベーションが街にうまれる日がたのしみです。


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