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都市同士が繋がり人類の共通課題に取り組む ——「SDGsで変革する地方行政の未来」【SIW2019レポート】

開催: 9.17(火) 渋谷ヒカリエ 8/COURT

“多様な未来を考える12日間”「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷」
https://social-innovation-week-shibuya.jp/2019/

DIVE DIVERSITY SESSION
「SDGsで変革する地方行政の未来」

2019年9月17日(火) 15:45〜16:30
渋谷ヒカリエ 8/COURT
<登壇>
広島県商工労働局イノベーション推進チーム 産業振興監
松田敦子
仙台市経済局産業政策部産業振興課 成長産業係主任
佐藤伸洋
名古屋市市民経済局地域振興部地域振興課主査(地域コミュニティ活性化推進)
丸澤敏宏
<ファシリテーター>
渋谷未来デザイン 理事兼事務局次長
長田新子

広島県、仙台市、名古屋市。各地方都市でSDGs推進に携わる松田敦子さん、佐藤伸洋さん、丸澤敏宏さんの3名が登壇し、「地方行政の未来」について語りました。

若手社員、中小企業、スタートアップ向けのイベント開催など「イノベーション・ハブ・ひろしまCamps」の取り組みを語ってくれた松田さんは、「自分たちの自治体におけるSDGsとは何か?」という問いに「今ある現状と“こうあったらいいな”のギャップを埋めるもの」だと答えました。



一方、防災対策や医療のIT化に取り組む仙台の佐藤さんは「企業の創出支援」だと語ります。
他方、名古屋の丸澤さんは「地域コミュニティではまだ言葉としては浸透していないもの。だから「三方良し」という日本語に置き換えて地域に発信している」と言います。

また現在感じている地域におけるSDGs推進の課題として、松田さんは「地域にもう少しプレイヤーが増えて欲しい。関心がある人とそうでない人がはっきり分かれている。着実に参加者は増えているものの、ものすごく大きなうねりではない」と言います。



続いて佐藤さんは「広島と同じような課題を抱えている。ほかのエリアでもSDGsの認知度を高めていき、多くの人に興味を持ってもらうことが大事」と語り、
丸澤さんは「地域のイベントになかなか参加してもらえない。企業に行政の取り組みへの参加を促すとボランティアはしたくないと言われる」と、民間と行政の間にあるギャップについて語りました。

一方で地方行政に関わる人が外に出てくることで変わったことについて、松田さんは
「広島県知事はベンチャー出身で新しいことに取り組む気質の持ち主。今の広島では新しいものを吸収し、地域に広める意識が高まってきている」と言い、
佐藤さんは、震災がきっかけとなって「“東北”という一体的な意識が生まれた。東北の中の“仙台”を対外的に発信するようになった」と、被災した仙台だからこそ、防災に関するプロジェクトを企業と一緒に作れるようになったことを例に挙げました。



丸澤さんは「民間企業と一緒にやることに対して否定的なことを言われたことはある。でもそれぞれの良さを出し合うことができればおもしろいことができるはず」、また「民間企業が行政よりも課題解決について画策している場合もある。行政はそれを邪魔してはいけない。そのためにも外の声を聞く必要がある」と、行政と民間企業の関係性のあり方についても言及しました。

20〜30年後の「地方行政の未来」における取り組みに関して、「時間をかけてやるものと、短期間で世の中に出して反応をみるもの。その二つを分けて、スタートアップ的な視点を行政が持つ必要がある」と語った松田さんは、広島の取り組みとして、先端技術を使った事業を作り実装するプロジェクト「ひろしまサンドボックス」を紹介。

佐藤さんは楽天イーグルスとともに地域を盛り上げる取り組みと、NOKIAとの協業“世界に展開できる防災モデルケース作り”という、ローカルとグローバル両極に向けたそれぞれの取り組みを紹介しました。

「名古屋には理系大学もあり、若者とテクノロジー開発の距離が近いという印象がある。彼らの挑戦を媒体にしながらどうやってほかの分野にも光を当てていくか。それを行政も勉強していく必要がある」と丸澤さんは語りました。



最後にSDGsの考えを広めるためにも「都市同士が繋がっていくことも大事だ」という共通認識を示した3人。これからの超高齢化社会やフードロス問題のような共通課題を掲げ、複数都市で考える必要があると語り合い、渋谷を含む4地域のコラボレーションでは首都圏、地方を相互に知ってもらうことを目的にスタートアップを行き来させるなどのアイデアも出てきました。

それぞれの地域での取り組みと連帯が今後、さらに広がりをみせ、地方行政の未来がより明るくなることに期待が高まります。

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