Aacademimic museum 見どころ紹介!

SIW 2023で実施した「NOVUS FUTURE DESIGN AWARD」の最優秀賞受賞プロジェクトである「Academimic(アカデミミック)」の作品が、SIW 2024開催期間中、渋谷区立宮下公園、RAYARD MIYASHITA PARK 2階で展示されます。作品の一部をご紹介します。

Aacademimic museum
2024年11月4日(月)~10日(日)
展示場所:渋谷区立宮下公園・RAYARD MIYASHITA PARK 2階

代表作品

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「Voice of MUON」
「Voice of MUON」は、素粒子ミューオンを介した地球との対話を小説と楽曲で描いた作品。ミューオンを活用した可視化技術ミュオグラフィは火山や津波の構造など、地球の状態を知る新たな方法として今後の展開が期待されている。南極の火山エレバスを舞台に、主人公・湯川がミューオンを通じて地球と交流する様子を描く。
https://youtu.be/9SmrbeDs2os

コメント
kohe(ボカロP)
地球が生まれた時からずっと降り注いでいる粒子ミューオンの力を借りて、地球の内部構造を把握する技術をテーマとしています。 この技術を想像したとき、まるでミューオンという言葉を介して、ずっと共に歩んできた地球とついに対話ができるようになったかのようなワクワクを覚えました。 きっとそういうプリミティブな感情が、学術研究の入り口であり原動力なんだと思います。 本楽曲を通じて、そういった学術研究のワクワク感を少しでも表現できていたら幸いです。

玖馬巌(SF作家)
私たちは日々ことばによって他者と対話し、時には成功、時には失敗を繰り返しながら、相手に対する理解を少しずつ深めていきます。  本作品の主人公もその例にもれません。ただ一つ異なる点として、科学者である彼女は、科学と言う名のことばによって、地球という悠久の過去から存在している私たちの寡黙な隣人を理解しようとします。本作品を通して、そうした科学の営みの魅力について、少しでも表現し伝えることができていればこの上ない喜びです。

 

image2-1 Aacademimic museum 見どころ紹介!

「BEAT!‼」
ヘッドフォンをつけてリズムを刻む少女と、アンプの上で同じように体を揺らすラット。このイラストは、種を超えた音楽の普遍性を表現している。
これまで音楽のビートに合わせて体を動かす能力は、人間特有のものだと考えられてきた。しかし最新の研究で、ラットもまた人間と同じように音楽のリズムを感じ取り、それに同調できることが明らかになった。特筆すべき点としてラットは、人間と同じ120から140ビート/分(BPM)のテンポに最も敏感に反応したことだ。人間もラットも、それぞれ体の大きさや動きの速さは全く違う。しかし、好むリズムが同じだとすれば、これは体の特徴ではなく、脳の仕組みが決めている可能性がある。研究者たちは、この能力が人間もラットも、そしておそらく他の動物も共通して持っているのではないかと推測しているのである。この考え方は、音楽を楽しむ能力が、私たちが思っていたよりもずっと多くの生き物に共通している可能性を示唆している。つまり、音楽を感じる喜びは、生命の深いところで共有されているのかもしれないのだ。この発見は、音楽への反応が種を超えて共有される可能性を示唆し、音楽やダンスの起源という壮大なテーマへの想像をふくらませる。一見キャッチーな研究であるが、同じリズムを共有するラットに、生命の根源的なつながりを感じてしまう。日常のBGMや音楽フェスなど、私たちの音楽体験に新たな視点をもたらすとともに、人間と動物のコミュニケーションの可能性を広げる。渋谷のクラブやライブハウス、爆音の中、暗闇に潜む野生のラットたちのノリを想像してしまう。

リターントリップエフェクト Aacademimic museum 見どころ紹介!

「リターントリップエフェクト」

目的地に移動し、再び戻る時、かかった時間や道は同じなのに、行きよりも帰りの方が短く感じる※1ことがある。この錯覚をリターントリップエフェクトという。本作品ではデートにおける行きと帰りを心象風景や音数を通して往復における時間の感じ方を描いた。モチーフとした論文[1]では以下のことが示された。※2①この現象は移動途中ではなく、往復後、それにかかった時間を振り返ることで行きの時間が長いと錯覚する。つまり、駅や家に着いたときに振り返ることでこの効果は現れる。②始まりと終わりが同じであることを知っていれば違う経路でも往復効果が生じる。つまり、“帰る”という意識が強くなることが重要である。②からは「帰りは早く帰れるはずだ」という認知バイアスが働いている可能性がある。「帰る」という意識がある以上、帰り道においてリターントリップエフェクトから逃れるのは難しい。しかし帰り道は物思いに耽りたくなることが多々ある。ふと気づけば到着駅だったということもよくあるのではないだろうか。どっぷり余韻に浸りたいときは、1駅手前で降りて寄り道するといいかもしれない。

※1)厳密には帰りよりも行きを長く感じる

※2)この研究の続きでは、そもそも全く同じ道を2回経験するだけでも往復効果が生じることを示した。つまり、復路である必要もないことを示している。これは往復効果が移動時間そのものの絶対的評価が短くなるのではなく、時間長の期待値を基準とする相対評価の期待値が延びて短縮するという仮説が唱えられている。

 

その他の作品も、多数展示します。

また、バーチャル宮下公園でもアート展示やバーチャルガイドツアーの開催をします。詳しくはこちらをご覧ください。

Academimic museum @バーチャル宮下公園

「Academimic museum @バーチャル宮下公園」ガイドツアー