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自然とともに生きる社会の再構築のために、シブヤできること

11.6 (水)

17:00 - 17:45

SHIBUYA QWS

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都市の特性を活かし、渋谷らしいグリーンコミュニティを育てる

 

 

<登壇>
長谷部健 渋谷区長
涌井雅之 東京都市大学特別教授 一般社団法人自然共生化社会研究会 代表理事
松本恵 東急不動産ホールディングス株式会社 グループサステナビリティ推進部 部長
佐座槙苗 一般社団法人SWiTCH 代表理事

 

このセッションは、「渋谷未来デザイン」の中に、環境コンソーシアムとして立ち上がった「CNUD(カーボンニュートラルアーバンデザイン)」による「CNUD SUMIT(サミット)」の1企画。CNUDは、渋谷の産官学が脱炭素についての議論を重ねる場となり、最新の脱炭素技術や制度情報を共有し、渋谷からサステナブルなアーバンカルチャーを世界へ発信していくことを目的としています。

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そのCNUDの共同事務局である一般社団法人SWiTCHの佐座槙苗さんをファシリテーターに、渋谷区長の長谷部健さん、東京都市大学特別教授で一般社団法人自然共生化社会研究会 代表理事の涌井雅之さん、東急不動産ホールディングス株式会社の松本恵さんが登壇。産官学のそれぞれの視点から、自然とともに生きる社会の再構築のために渋谷で何ができるのか、が議論されました。

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「実は渋谷区は緑が多い街。東京23区における緑被率は、今、2位に上がってきています」とは長谷部さんの言葉。一方で、例えば、電線にかからないように並木の枝を切ったり、緑を都市空間に合わせて整備してきたところがある、とも。つまり、都心で緑が豊かに育つためにどうしたらいいか、はあまり気にかけてこなかった部分であり、「来年からは、樹木医の先生を紹介してもらい、保全に努めていきたい」と話されました。

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加えて、長谷部さんは「玉川上水旧水路緑道」の再整備プロジェクトについても紹介。初台から幡ヶ谷まで、甲州街道沿いに2.6km続く「玉川上水旧水路緑道」。その老朽化が進んでいるのを機に、渋谷区では、次の100年を考え、自然の共生をひとつのビジョンに、緑道のリニューアルを検討してきました。「歴史があるこの場所は、渋谷区にとっても地域の人にとっても、大切な誇り。多くの人に思いを寄せてもらえる道にしたいと考えています。その上で決めたテーマのひとつが、“ファーム”。この言葉には“農地”だけでなく、そこには“育てる”という意味もあります。子供たちが遊ぶ場所はもちろん、農地を作り、地域の人が都市農園を楽しんだり、またそれを販売する場所、食べられる場所を設けたりイベントができるようにしたり。コミュニティが育つ空間として考えています」

 

40年間、ほぼ40年にわたって生物多様性の問題を考え、唱えてこられた、涌井さんは、まず“プラネタリー・バウンダリー”という概念を紹介しながら、今、市民が地球環境をどう捉え、どのようなアクションをすべきかを説明されました。その根底にあるのは、人間は生態系サービスを受けて生きており、生物多様性を維持しないと持続的な未来はないという考え方、ひいては、人間も自然の一部であるという捉え方。

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「(CO2の削減や脱酸素社会の実現と聞くと)なみなさん、気候変動の問題解決がゴールだと考えがちですが、(それは解決すべき問題のひとつに過ぎず)、実は、自然と共生しながら、我々がいかにウェルビーイングに生きていくか、がゴール」と涌井さん。

自然とともに生きる社会の再構築の松本さんは、その上で、企業がどういった活動をしているのかを紹介されました。実は、東急不動産は、創立された70年ほど前から、自然と調和するまち作りをビジョンのひとつに掲げてきたそう。現在も、都市開発や新しい施設づくりにおいても、緑化を推進しているとも話します。

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渋谷区に場所を構えているいくつかのオフィス・商業施設などの事例を紹介しながら、「例えば、鳥などの生物が行き交うように、緑と緑を繋義、エコロジカルなネットワークを作ろうという取り組みも進めています」と松本さん。

「(建物内の緑化スペースには)多様な生き物が訪れていて、専門家の方と調査したところ、鳥は20種類以上、虫ですと167種類の生き物が来ていることわかりました」。また、緑化は、ヒートアイランド現象の軽減に一役買い、人々のストレス軽減にも効果的であることについても、自社での取り組みの経験やデータをもとにお話しされました。

セッションでは、どうすれば渋谷の特性を生かしながら、自然と共生できる社会づくりをさらに推進できるのか、についても議論が進み、渋谷区が提携している地方自治体を含め、相対的にカーボンオフセットを進めること、自然を資本を考える新しい価値観を根付かせること、また単一の企業だけではなく、密に連帯し様々な取り組みを行なっていくことのビジョンやアイデアがそれぞれから提示されました。