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人のこころを理解し、道徳と美意識でビジネスに取り組む ——「デザイン経営の実践〜なぜ今、「デザイン」なのか?〜」【SIW2019レポート】

開催: 9.18(水) EDGE of

“多様な未来を考える12日間”「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷」
https://social-innovation-week-shibuya.jp/

「デザイン経営の実践〜なぜ今、「デザイン」なのか?〜」
2019年9月18日(水)19:30〜21:30
EDGE of
<登壇>
丸橋企画株式会社代表取締役、多摩美術大学非常勤講師
丸橋裕史
キリンビール株式会社マーケティング本部マーケティング部新規事業創造担当
鈴木 伸

2018年11月から、i-common by persolは、新しいプロジェクトや出会いのきっかけとして、ユニークな才能の持ち主と、一緒に話し、食事をするイベントを開催しています。
今回は、ソーシャルイノベーションウィーク渋谷と連動し、丸橋企画株式会社代表取締役の丸橋裕史さん、キリンビール株式会社の鈴木 伸さんによるトークイベントを行いました。
テーマは「デザインとビジネス」。2018年に経産省と特許庁が「デザイン経営」を宣言し、書店にも関連書籍が並ぶなか、ふたりの具体的な活動事例から、来場者は、その具体的な実践へのヒントを学びました。



丸橋さんは、自身の会社で商品開発や新規事業戦略立案などを行っています。
ひとつ事例として丸橋さんが紹介したのは、ジャポニカ学習帳の「地域発見シリーズ 愛南町」。愛知県愛南町で行われている“ぎょしょく教育(消費者の魚離れの問題解消として「魚色」(魚を知る)、「魚職」(漁業を学ぶ)、「魚食」(魚を食べる)といった学習プログラムによる食育プロジェクト)”と、学習ノートのコラボレーション。ノートの前後10ページは、“ぎょしょく教育”の授業レポートが掲載されています。

「大切にしているのは、リソースと課題の交換。そのために、まず“登場人物”を考えます。
このケースでは、ジャポニカ学習帳を製造しているショウワノート、学校、文房具屋、また、愛南町の漁業関係者や、給食納入業者、ぎょしょく教育プログラムの作成者など。少子化や認知度や売り上げの低下、魚離れといった彼らが抱える課題を解決するものとして、「地域発見シリーズ 愛南町」をつくっています」と丸橋さん。

デザインをビジネスに活用する上で大切なのは、“感性×理性”の両面でみること、とも話します。
「(プロデューサーとして)皆がイメージできるビジョンを共有しながら、数字で語る。そのためには、本質的な価値を提供しているか、社会にとって良いことか、審美性を担保しているか、を判断する道徳と美意識をもつことも大切」



一方、鈴木さんは、キリンビールの社員。
「2009年から13年まで、新しい商品づくりを行ってきました。ただお酒は特殊な嗜好品。特に缶ビールの場合、商品に関わるお客様の行動は、“椅子に座る、缶ビールを開ける、飲む”がほとんど。だから、こうなるとこうハッピーになるだろう、とお客様の心の情緒を想像する。つまり深い人間理解が欠かせません」

企業におけるデザイン担当といえども、商品のコンセプト立案からパッケージのデザインまで、ではなく、新ビジネスモデルをつくるのも鈴木さんの仕事。
ひとつの実例が「ホームタップ」。醸造家だけが知っていた生ビールの美味しさを、工場から自宅へ届けるというもので、鈴木さんが描いたのは、自宅に専用ホームサーバーがある“暮らし”。わかりやすく、誰もがイメージを共有できるアイデアです。

「良い発想とは、最初からやりたいことがシンプル。またネーミングがすぐ決まることも大切。つまりその商品やプロジェクトの価値を一言で伝えられるか(というコミュニケーションをデザインすること)」



また、キリンビールには、アートやデザインが好きな社員が多いのも特徴だと言います。
「海外にいる上司が、アート展のポストカードで手紙を送ってくる」
いわゆる企画書のやりとりだけでない、アート的な考えや発想、イメージを共有できる環境があることも、(前身会社を含めて)キリンビールが約130年と永く続いている理由ではないか、とも語りました。

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