認められるのを待つのではなく自分からアクションを—伊達公子さん登壇「Shibuya Women Leading Connection」

「女性×スポーツ×渋谷」Shibuya Women Leading Connection 開催レポート

多様な視点から生まれる「尊重」、尊重するからこそ生まれる「新しい発想」や「共感」、それを「応援しあう」ことにより「あたりまえ」の世の中へと加速させるために——2022年のSOCIAL INNOVATION WEEK(SIW)では【Women Leading】をカンファレンステーマのひとつとして掲げました。
その流れを止めず、さらなる出会いや再会、ふとした会話から生まれるアイデアをアクションへとつなげるモーメントを創出すべく、3月の「Women’s History Month(女性史月間)」に合わせて「Shibuya Women Leading Connection」を開催しました。
杉浦小枝渋谷区副区長も出席し、「渋谷区はたくさんのスポーツイベントやスポーツ事業などを行っているなかで、色々な企業の力も借りながらスポーツを活性化させたい。今日をきっかけに縦にも横にもコネクトして、女性、スポーツの未来を切り開いていきたい。」とコメントしました。
その後、テニスプレーヤーの伊達公子さんを迎えたトークショーや、株式会社モルテン、スマドリ株式会社のプレゼンテーションを行いました。
 
 
「女性×スポーツ×渋谷」をテーマにしたネットワーキングイベント
「Shibuya Women Leading Connection」

会場:BMW XM POP UP in HARAJUKU
主催:一般社団渋谷未来デザイン
共催:DAZN / Next Generations
協力:BMW Japan / 株式会社モルテン / Keep Playingプロジェクト / スマドリ株式会社

 
 
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開催の挨拶:DAZN 松岡けいさん(写真左)、渋谷未来デザイン 長田(右)

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乾杯の挨拶:杉浦小枝 渋谷副区長


 
 

テニスプレーヤーの伊達公子さんによるトークショー

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<登壇>
伊達公子(テニスプレーヤー / Japan Women‘s Tennis Top50 Club 代表理事)
長田新子(渋谷未来デザイン 理事・事務局長)
 
 
伊達公子さんは、WTA(女子テニス協会)ランキングで自己最高4位など日本のテニス界を牽引したレジェンドプレーヤー。1996年に世界ランキング8位のまま現役を引退ののち、2008年に復帰(二度目の引退は2017年)。現在は一般社団法人Japan Women’s Tennis Top50 Club(以下JWT50)を設立し、後進の育成に励みながら、渋谷区でベーカリー「FRAU KRUMM BREAD & COFFEE」をプロデュースするなど新たなチャレンジをされています。

女性としてチャレンジし続けることに対して、伊達さんは「私自身、小さい頃からスポーツからエネルギーを貰って生きてきました。いまは若い方や女性の方々に私の体験・体感を届けることがエネルギーになっています」と話した後、「正直辛いことや苦しいこともある」とつづけます。

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「辛いこと、苦しいことがあっても私はゴールに辿り着いたときにそれを上回る喜びがあることを知っているんです。頑張るという言葉は嫌いで、普段はあまり使わないのですが、だからこそ頑張れますし、経験するうちに“ゴールも楽しいけどそのプロセスも楽しい”ということを知ることもできました。楽をしてしまうと達成感も少ないんです」

山頂の景色だけを楽しむのではなく、その道程も楽しむ。旅行の目的地でも楽しむけど、その準備も楽しむ。仕事でも成果だけにフォーカスせずにプロセスも評価する。日々を過ごしていると忘れがちだけれど多くの人が共感できるこの価値観は、世界トッププレーヤーであった伊達さんの言葉として届くことで多くの人に勇気を与えます。
つづけて伊達さんは「JWT50」の設立への想いを語ります。

「私はファーストキャリア、セカンドキャリアともにテニスと関わってきました。特に現役復帰は年齢とブランクに対するチャレンジでした。セカンドキャリアが終わったときに、プロテニスプレーヤーではないけどテニスプレーヤーであるという意識は変わりませんでした。そのときに何ができるんだろうと考えて、ジュニアや女性プレイヤーの育成、本気で世界を目指す人たちを応援しようと思いました」

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90年代に世界ランキング100位圏内の日本人女性は10人ほどいましたが、いまは大坂なおみさんだけ(現在は休養中)。日本人が世界のトップを目指すために、若い世代や女性が持つポテンシャルを引き出すには自分に何ができるんだろう? と考え抜き、JWT50設立まで準備を繰り返してきたそうです。

「どういう悩みを抱えているのか、課題は何か、どういう解決策があるのか?
考え方、練習方法、食事などテクニック以外にも大事なことがいっぱいあるので、メンタリング中心のサポートとしてコミュニケーションのキャッチボールを常に行っています。また競技のサポートでは、世界を目指すために必要な大会を6つ開催します。日本の環境の中で世界と戦えるチャンスをもっと多く提供していきたいと思っています」

次世代育成のためハードとソフトの両面でサポートをつづける伊達さんは、環境整備も非常に重要であることを説明します。

「テニスの世界基準のコートは、大きく分けて3種類。ハードコート、赤土、天然芝ですが、日本では50%以上が砂入り人工芝です。多少の雨でも耐えられるというメリットがある一方で、材料が産業廃棄物になりますし、熱反射も多く、滑る場所やブレーキがかかる場所があるなど課題があります。できるだけハードコートを増やしていこうという動きを推進するなかで、渋谷区が賛同してくれて、今後全国の中でも世界基準の環境が整うことになれば、テニス界においても明るい未来につながると思います。」

伊達さんのサードキャリアは、次世代の育成であり、ご自身の経験の継承でもあります。そんなチャレンジとアクションの原動力は一体なんなのでしょうか?

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「若い人の意見を聞くだけでもエネルギーになっています。実際に世界に行けるのはほんのひと握りです。1割行ければいいほう。じゃあ、残りの9割はどうするのか? 違う道を歩まないといけないし、夢を諦めるのも辛い。そういった方々も含めて、テニスに打ち込んだ人たちとコミュニケーションを取り続けて、『テニスをやっていてよかった』と思ってもらうのが最終ゴールです」

ジャンルを問わず、どの道もそこに足を踏み入れる全員が成功を収めるわけではありません。しかし、そこまでの経験を生かしてより良いキャリアを築いていくことはできます。「ゴールだけではなくプロセスも楽しむ」のが大切であるのと同様に、辛く苦しいプロセスがあればこそ、セカンドチャンス、サードチャンスを掴むことができるはず、という思いが、伊達さんの発言から感じられます。

そして、最後にアクションと継続の重要性をメッセージしてくれました。

「多様性が求められる中、女性の活躍という点では、周りから認められるのを待つのではなく自分からアクションをしないとダメだと痛感しています。私はその経験で強くならざるを得なくなりましたし、実際にアクションすることで世界は変わりました。もっともっと一人一人がアクションを起こしたら、世界はもっともっとよくなります。あとは継続。成長は必ずしも目に見えるわけではないですが、継続することで変化は起きます!」

伊達さんの力強いメッセージのひとつひとつが、常に朗らかな笑顔で明るく語られていたのが印象的でした。努力は楽しいもの、プロセスは財産、成果は目に見えづらくても変化は起こる、というメンタリティは若い世代や女性だけではなく、多くの人の心にも響いたのではないでしょうか。

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その後は、株式会社モルテンがバスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)、日本ハンドボールリーグ(JHL)とともに、女性スポーツプレイヤーをはじめ全てのプレイヤーを応援する『Keep Playingプロジェクト』について、株式会社モルテン長谷川乃亜さん、日本女子プロサッカーリーグWEリーグ小林美由紀さん、一般社団法人日本ハンドボールリーグ 髙木七実さんからのプレゼンテーション。

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株式会社モルテン長谷川乃亜さん(写真左)、日本女子プロサッカーリーグWEリーグ小林美由紀さん(中央)、一般社団法人日本ハンドボールリーグ 髙木七実さん(右)

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スマドリ株式会社 皆川亜衣さん

スマドリ株式会社 皆川亜衣さんは、飲む人も飲まない人も、適切に飲み方の多様性をもって楽しむ「スマートドリンキング」の考え方について説明。

その後はネットワーキングタイムへ。
気持ちが高まる軽食とLicaxxxさんのDJで会場は盛り上がります。

TSP8866 認められるのを待つのではなく自分からアクションを—伊達公子さん登壇「Shibuya Women Leading Connection」アサヒドリンク 認められるのを待つのではなく自分からアクションを—伊達公子さん登壇「Shibuya Women Leading Connection」TSP9068 認められるのを待つのではなく自分からアクションを—伊達公子さん登壇「Shibuya Women Leading Connection」

DJ Licaxxx

オンライン配信はなく、全てオフラインで開催された当会。人と人がリアルに出会い交流する喜びを久しぶりに再確認できた方も多かったのではないでしょうか。
この場で生まれた出会いやアイデアの種が、より多くの具体的なアクションにつながっていくことを願っています。

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SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2023

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