2022年のSIWでアイデア公募がスタートし、2023年4月に各受賞プロジェクトが発表された「NOVUS FUTURE DESIGN AWARD」。
ここではCulture Design賞を受賞した「都市の菓子化プロジェクト」川野里菜さんのインタビューをお届けします。
Culture Design賞
「都市の菓子化プロジェクト」- 川野里菜さん
都市の菓子化とは、味覚と視覚の共感覚をもって建物を菓子化(可視化)する事です。
「表参道に軒を並べる建物は高級なケーキの造形やデコレーションに似ている」という発見から、私は表参道の個性的な建物をケーキに見立て作品を製作しました。
ガラスの艶はゼリーのシズル感、壁面の白い装飾はケーキのデコレーションクリームを思い出させます。わたしはこの都市の菓子化と渋谷区の特性を掛け合わせ、渋谷区ならではの文化を創造しさらなる観光都市へと推進させるプロジェクトを考えました。
表参道を実際に歩き、建物のどの要素が美味しく菓子化されているのか見つける「菓子化MAP」の配布や、ケーキで再現された小さな表参道を食べる体験型の展示を開催し、新しい視点を通して渋谷区の街の魅力を外に発信していきたいです。
そうすれば、いつもの表参道はエンターテイメント性をもち渋谷区はもっと人々の活気と生活の中心になっていくのではないかと思っています。
—川野さんの普段のお仕事・活動についておしえてください
パティスリー「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」でデザイナーをしています。
また、個人で作品制作をしたり展示に参加するなどの活動を行っています。作るものもお菓子をテーマにしたものが多いです。
—このプロジェクトのポイントはどんなところですか?
ものの見立てを使い新しい視点で街を見る事で、食べれないはずの建物がどこか美味しそうにみえてくるという点です。
いつもみている風景を新しく楽しく、日常をより豊かにできると考えています。
—これから未来に向けて、社会がどんなふうに変わっていったらいいと思いますか?
今よりもっと若者の発想やアイデアに耳を傾けて力を貸してくれる社会になればいいなと思います。
また、アートやデザインの社会実装がもっと広がっていってほしいです。現代は変化の激しく先が見えない時代なので、特にクリエイティブな発想やアイデア、それに伴うデザインなどに対しては意欲を上げていく事が必要になってきていると考えています。
作品自体に機能性はないのですが、そのクリエイティブに触れることで見た人の心に何かしらの変化を与えることができます。私はアートやデザインを通して新たな視点や価値を世の中に提示していきたいです。文化・芸術の可能性やクリエイティブ思考を追求し、生活の中に実装していく事でこれからの社会はもっと楽しく、より豊かになっていくと信じています。
—NOVUS FUTURE DESIGN AWARDの魅力はどんなところだと思いますか?
アイデアやデザイン自体を評価するコンペは沢山ありますが、評価だけでなく実現型のアワードであることが一番の魅力だと思います。
素晴らしいアイデアが思いついても一人で社会実装までもっていくのはなかなか難しいですし、限界があります。私自身もそこで悩んでいたので、コンペに参加してアイデアを知ってもらうと同時に、実現に向けて協力して頂けるような味方を増やしたい!という気持ちで応募しました。
最終審査では審査員の方だけでなく、スタッフさん、他の参加者のみなさんが私のアイデアを真剣に聞いて面白がってくださり、人の繋がりが増えたのもとても嬉しかったです。
—今後の活動予定についておしえてください
少しでも未来が楽しく明るくなるよう、アイデアの社会実装に向けてこれからも精進していこうと思います。
また、rinaco.という名前でクリエイターとしても活動していますので、そちらも応援していただければ幸いです。
rinaco. instgram|@ririri908
PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI|https://asakoiwayanagi.net