<SPEAKER>
寄本 健
東急株式会社 沿線生活創造事業部 エンターテインメント事業推進グループ 企画担当 課長
井上智治
一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン代表理事
一般社団法人 新経済連盟幹事
山中直子
meetalk株式会社 代表取締役社長
今田素子
株式会社インフォバーングループ本社代表取締役CEO
金山淳吾
SIWエグゼクティブプロデューサー
一般財団法人渋谷区観光協会 代表理事
変化する社会の中でより豊かな渋谷らしいカルチャーと経済を作る
AI、IoT、5G、XR、ビッグデータといったテクノロジーが社会実装されることで、私たちの社会は経済的な発展と社会課題の解決が良い形で両立していく時代を迎えつつあります。一方で、私たちはそのような変化が起こる中で、より人間的な豊かさを形にしていくための都市基盤を構築し、その上でどういった活動をしていくのかを具体的に思い描いていく必要があります。
このセッションでは、東急の寄本健さん、カルチャー・ヴィジョン・ジャパンおよび新経済連盟の井上智治さん、meetalkの山中直子さん、インフォバーングループの今田素子さん、SIWエグゼクティブプロデューサーの金山淳吾が登壇。文化拠点を作るための多様な都市インフラを持つ渋谷で新しいカルチャーや経済を育んでいくための仕組み作りについて、議論が行われました。
渋谷の再開発において、エリアマネジメントに従事してきた経験を持つ寄本さんは、多様性のあるカルチャーを生み出していくために必要なことについて、こう語ります。
「官民、地域住民など色々なプレイヤーの方々と一緒にエリアマネジメントしていくこと、エンターテイメントを街に根づかせていくこと、そして、どういう街にしていきたいかブランディングすることの3つを同時に進めていく必要がある。例えば、地域住民と一緒に渋谷の公共空間をプラットフォーム化し、サステナブルな仕組み作りに取り組むこと。それともうひとつは育成。これまでは街のブランディングとして、コンテンツを誘致することを中心にやってきたが、これからは誘致だけでなく、プログラムを公募をして一緒に作って大きくしていく必要があり、クリエイターやアーティストの育成にみんなで取り組んでいくことを考えなければいけない」
今田さんはダイバーシティ&インクルージョンをテーマにしたコミュニティ&メディア『MASHING UP』というプロジェクトにも取り組んでいますが、「女性起業家はなぜスケールしづらいのか?」という質問に対して、「女性の起業家に向けた情報が少ないため、収集できる情報が足りない。そこを提供していく活動が大事」と回答。
女性起業家を支援するコミュニティmeeTalkを運営する山中さんはこう言います。
「女性だからこそ体感する社会課題とそれを解決するような良いアイデアが沢山ある。我々は投資家の方にも協力してもらって、どうすればこの事業はスケールするのか?と、同じく挑戦する人同士をつなぎ知見や経験を共有しあえるような場もつくっています。
meeTalkやMashing Up、そして今日のSIWのような多様性のあるカンファレンスイベントでは、メンター、行政、投資家、支援組織など事業成長に必要なリソースをもつタテヨコナナメの人ともカジュアルに出会いつながることができる。挑戦する人へ、コミュニティや企業がチャンスを提供し続けることが、文化を育んでいくのだと思います」
井上さんは、日本の文化芸術分野での価値共創事業や文化経済戦略事業に取り組む立場から、「日本は、韓国やヨーロッパに比べて、行政からの戦略的な文化支援が少ない」と指摘。それを変えるためには、クリエイターと産官学を繋ぐプラットフォームが必要だといいます。
また、文化活動は儲からないと言われる中でそこに参画する企業に求められることについても意見交換。
「文化はネットワーキングでつながりやすく、時間で関係性が変わっていく。それを企業が理解していく必要がある」、「文化を作っているのは街の中にいる人であり、より良い未来を理想をもって実現しようとする人なので、そういう人を企業が支援してほしい」といった考えが示される中で、井上さんは「渋谷」という文脈に立ってこう添えます。
「街の人と企業が、継続的な取り組みができる仕組みを作ることが大事。企業は単に寄付するのではなく、街と結びついた活動をすることで社会的意義が定着していく。渋谷にはイノベーティブな企業や若手の経営者が沢山いるので、そういった人たちと積極的に交流することで、企業活動の中に持続的に渋谷の文化を組み込んでいけるとすごくおもしろいと思います」