<SPEAKER>
遠藤克之輔
BMWブランド・マネジメント・ディビジョン本部長
石山アンジュ
社会活動家
中里豊
コールマン ジャパン株式会社 代表取締役社長
白井空良
東京2020大会代表 プロスケートボーダー
モビリティは多様化するライフスタイルの中でどう変わる?
これからの社会で求められるその価値とは
現在は、リモートワークが普及したことをきっかけに多拠点生活やワーケーション、キャンプやストリートスポーツの流行など、新しいライフスタイルをデザインする人が増えたことでモビリティに対する意識も多様化しています。それと同時に考えていく必要があるのが、脱炭素など環境にも配慮したサステナビリティの問題です。
このセッションでは、BMWジャパンの遠藤克之輔さん、社会活動家の石山アンジュさん、コールマン ジャパンの中里豊さん、プロスケートボーダーの白井空良さん、SIWエクゼクティブプロデューサーの長田新子が登壇。「モビリティ」をテーマに、これからの新しいライフスタイルをデザインするアイデアについて、意見交換を行いました。
セッションの冒頭では、長年、電気自動車に関わり続けてきたBMWジャパンが、渋谷区と一緒に「未来アイデア会議」を立ち上げることになった背景について、遠藤さんが説明。BMWジャパンでは、今後、渋谷に集まる多様な人々と対話することで、電気自動車、サステナビリティ、モビリティを通じて、どのようにライフスタイルを変えていったり、もしくは自動車メーカーとしてサポートしていけるかを考えたいといいます。
意識のつながりによって“家族”になる「拡張家族」の考え方を実践し、現在102人の家族を持つという石山さんは、現在、東京、京都、大分の3つの拠点を持ち、多拠点生活を行なっています。コロナ禍以前は、仕事の関係で東京に滞在することが多かったと言いますが、コロナ後はリモートワークの比率が高まったことで、月の半分は大分に滞在するようになりました。その中で、自分にとっての自動車の存在意義も変化するようになったといいます。
「東京にいる時は自動車は必要ないと思っていたが、田舎に住むとまだまだ不可欠な存在だと思うようになった。ただ、今はカーシェアリングのように半分所有するようなかたちでモビリティを利用することも増えている。若者の車離れが進む中では、シェアリングにより、ブランドへのタッチングポイントができることで後で車を買いたくなるなど、シェアリングの仕組みが車と若者の間を繋ぐものになってきている」
その意見に対して、「以前は、移動だけでなく、純粋な趣味として人々は自動車を持つものだと思っていた」と語った遠藤さんは、「モビリティとは、移動だけでなく、乗る人のライフスタイルをより豊かにするものである必要がある。BMWが考える“駆けぬける歓び”とはドライビングだけでなく、人生を駆けぬける歓びでもある。そんな存在であってほしい」と自らの意見を述べました。
また、従来の自動車よりもサスティナブルとされる電気自動車であっても、決して避けて通れないのが、エネルギー問題。
遠藤さんは、この課題解決のアイデアとして、今後、電気自動車を持っている人たちが、そこで発電した電気をスマートグリッドで供給しあうことで、コミュニティの中でエネルギーを循環していくことを提案。こういったクリーンエネルギーに関わることでは、今後は企業だけでなく消費者側のサスティナビリティに対する意識変容も求められます。
中里さんは、昨今人気になっているキャンプを例に「キャンプには、”来る前よりもきれいにして帰ろう”というマナーがあるため、キャンプを始めるとみんな自然を大事にしなければということを意識しだす。クリーンに関わる問題は、頭で考えるだけなく、実際に自分で行動して学ぶのが一番大事。こういうところからも個人の意識も変わり出している」と指摘。
また、中里さんの意見に同調する白井さんも、プロスケートボーダーとしての立場からスケートボードが嫌われる理由にマナーの問題があることを例にこう語ります。
「渋谷では、人混みの中でも構わずスケボーをする人がいる。これまでのスケボーカルチャー特有の考え方もあるので難しい部分かもしれないが、やっぱりスケボーをする時は人に迷惑をかけないようにしてほしい。そうすれば印象も良くなりもっと多くの人が好きになってくれると思います」
ライフスタイルが人それぞれ、多様化する時代。多様な選択肢を尊重し合うために必要なことはなにかを常に考えていく必要があります。
遠藤さんは、モビリティというものの可能性や、モビリティを通じて感じたことをシェアし合う「未来アイデア会議」を通じて、多様なライフスタイルが共生していける場づくりに役立ていきたいとこれからの展望も示しました。