NEWシティ:都市を経営する

<SPEAKER>
澤田伸
渋谷区副区長
中村健太郎
アクセンチュア株式会社ビジネスコンサルティング本部インダストリーコンサルティング日本統括 マネジング・ディレクター)
金山淳吾
SIWエグゼクティブプロデューサー
一般財団法人渋谷区観光協会 代表理事

データを基に都市経営。市民活動や企業との連携から生まれる経営資源を活かすには?

現在、都市の行政に関わる自治体では、これまでの「運営する」という意識から、新たに「経営する」という意識に変わっていく必要があるといいます。

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「NEWシティ:都市を経営する」には、渋谷区副区長の澤田伸さん、アクセンチュアの中村健太郎さん、SIWエグゼクティブプロデューサーの金山の3人が登壇。都市を「運営」するための最も大きな資源となるであろう「データ」の収集とその活用についても含めて、見えてくるこれからの“官民連携”のあり方について、トークセッションを行いました。

東京23区内で初めて民間企業から登用された副区長である澤田さんは、これまで渋谷区の行政に関わる中で、自治体の経営モデルは民間企業のキャッシュフロー経営に近いことに気がついたといいます。

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キャッシュフロー経営とは、現金を重視していく経営モデルのことをいいますが、行政における現金というのは税金のことを指し、これが最も重要な経営リソースとなります。しかし、税収には区民から入ってくるものと例えば道路占有料や公共施設の利用料金といった税外収入があり、行政ではそういったものを合わせて、一般会計と言われる予算として、行政区内の様々なサービスにあてられています。

自治体の課題は、従来の単年度会計主義や事例踏襲、市民ボイス偏在化といったことですが、それを変えていくために現在、渋谷区では産官学民によるクロスセクター方式で街づくり、データを積み重ねながらエビデンスをベースに政策の決定や実行を効率的に行う”EBPM”、渋谷のアセットを活用するなどの財務戦略、地域のコミニュティと協創していくことに取り組んでいます。

また、渋谷区にはユニークなコミュニティがあり、そういったコミュニティが繋がることでソーシャルキャピタルが形成されることで、アイデアが生まれていきますが、最近ではその機能を増強したり、新たなイノベーションを生み出すために都市にそういったオペレーションシステム”都市OS”を作ることにも着手。

オフィスダッシュボード、、シティダッシュボード、スクールダッシュボードの3つのダッシュボード作りに着手。様々な都市データをビジュアライズして見える化していくことで、誰でも次のスタートアップやバリアフリーを加速させるために活用することを目指しています。

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澤田さんは、そのために必要なこととして、「行政が持っているデータと民間企業が持っているデータを一緒に合わせることでより大きな価値を持つデータを作ること。行政もこれからはヒト、モノ、サービス、テクノロジーといった経営リソースを経験と勘ではなくデータを使って未来永劫やり続けていくことで責任説明を果たしていくことが重要になってくる」と語ります。

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コンサルタントとしてこれまでに様々な自治体と関わってきた立場から中村さんは「日本の自治体には経営するという視点で行政に取り組むケースは少ないだけでなく、渋谷区のように区内のアセットをレバレッジして、民間企業から投資を呼び込むようなことをしている自治体は海外でもあまりない」と述べたほか、都市が経営という思想を手に入れた時に起こる変化についてはこう語ります。

「これまでの都市では、投資と受益のバランスがこれまで都市はわかりにくく、企業からすると投資したものがなんとなく返ってきてきているようなバタフライエフェクトのような感じだった。しかし、コロナ禍によって、今ではSDGsやダイバーシティのような自分が個人で守っていた価値観を市民が街づくりに求めるようになっている。例えば、企業からするとデータで人流が見えると、公共交通機関に迷惑をかけないように配するなど、街の課題が解決されるようになると街への投資も進む」

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また、「今後、企業が街づくりにコミットしていく流れはこれから世界的に進んでいくのか?」という質問に対しては、「クロスセクターの経験がある自分からするとそれは当たり前の話。社会の基盤が強くなれば、間接的にも直接的にも企業の成長ドリブンになる。渋谷には2000を超えるスタートアップが集まっており、街の多様性にも関わっているが、それが自然発生的に生まれていること自体が都市OSのひとつになっている。そこに今後はテクノロジーのOSが加わえることをやっていく必要がある」と澤田さん。

さらに続く「単年度会計である自治体がイノベーションに対する非連続な成長を生み出すための予算や研究費は持ちにくい」という質問に対しては、「渋谷区では研究費という名目ではないだけで、そこにはそれなりの予算をあてている。これまでからもどんな新しい市場にどんな技術があるのか探すことを民間企業とのサウンディングなどを通じて行っている」と答えます。

その1つの成果が渋谷区内に拠点を置く企業や大学等と区が協働して地域の社会的課題を解決していくために締結する公民連携制度「S-SAP」ですが、澤田さん曰く、これまで行ってきたR&Dの中でも最も大きなものが「渋谷未来デザイン」とのこと。

「イノベーションを起こすために税という投資も一部行っているが、やっぱり民間の投資をうまく呼び込んで、行政だとまだ時期早尚だったり、リスクが大きいことでも果敢に飛び込んでいけるのがまさに渋谷未来デザインの仕事」

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中村さんも「そういうアセットをコミュニティや、場所、人流などのデータとして、行政が設置するような形で民間の視点で使いやすいものを拠出できると良い。そのためには行政側がどこに申請すればいいのかなど、わかりやすく窓口、権限、権益を作ることも必要になる」と語りました。

自治体や行政は、都市を「運営」するだけでなく「経営」する必要があり、税収を運用するだけでなく、「経営資源」そのものを生み出していく必要があります。また、その「資源」の多くは、市民活動や企業などとの連携によってこそ生まれるため、今後も立場を越えて、地域のコミュニティが連携していくことで、渋谷の都市としての魅力がより高まっていくのではないでしょうか?

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