Key Dialog|NEWカルチャー:新しい日本が生まれる
<SPEAKER>
落合知也
東京2020大会代表 プロ3×3プレイヤー
石川勝之 (Bboy Katsu One)
日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス本部長
株式会社IAM代表取締役
宮本美保
東京2020大会 スケートボード(ストリート) 日本代表コーチ
長田新子
SIWエクゼクティブプロデューサー
一般社団法人渋谷未来デザイン理事 兼 事務局次長
競技として、文化として。3人のアスリートが提示するストリートスポーツの醍醐味と課題
「今、競技をやりたいという子どもたちが増えている。そういった子どもたちの夢を育む環境や場所、カルチャーを構築していきたい」。東京五輪で注目を集めたスケートボードの日本女子代表コーチを務めた宮本美保さん、同じく東京五輪でバスケットボール3×3に出場し6位入賞を果たした落合知也さん、またパリ五輪の正式種目に採用されるブレイキン(ブレイクダンス)で、いち早く世界と勝負し、近年は若手の育成にも力を入れる石川勝之さん(ダンサーネームは「Katsu One」)。3人はそう声を揃えます。
このセッションでは、“ストリートスポーツ”とも称されるその新しい3つ競技の醍醐味やストリートカルチャーとの関係、またこれからの課題について、それぞれのパイオニアとしての実体験を交えながら、語り合っていただきました。
落合さんは「5人制バスケットボールと違い、3×3はショッピングモールのスペースなど基本ストリートで競技をする。もともとストリートのスポーツなので誰にでも始められるし、試合も10分間とコンパクト。観戦も無料。フラットに観られるのも醍醐味」。
“スケートが女の子のスポーツ”として認められていなかった時代に競技をはじめた宮本さんは、女性スケーターの交流イベントなど応援活動も展開。また、一時期、女性スケーターの限界を感じ、ストリートでスケートをする映像制作に取り組んだこともあったと話します。
「今はアスリートを目指す子も、そのカルチャーを楽しむ子もいる。スケートボードが好きなのは一緒」
それぞれが、各々の楽しみ方を認め合っているのは良い風潮だと言います。
「ストリートでたくさんのことを学んだ」とは石川さんの弁。「酔っ払いにからまれたり、予期せぬことが起こる。そういった出会いも学びの場になる。また、友達を思う気持ちも育まれていく。ブレイキンは、2018年のユースオリンピックの正式競技になりましたが、選手たちが夜中に集まってお互いに教えあったりしていました。相手に勝つだけでなく、仲間と教えあったりすること、それはもともと人がスポーツに求めていたこと」
3人が共通してあげる課題は、プレイする場の少なさとマナーの問題。後者はたとえばゴミの放置など。「バスケのチームでも自分たちでゴミ拾い活動を行なったり。プレイグラウンドもそうだけど街を綺麗にする活動をすることでみんながハッピーになれる」と落合さんは提言。プレイする場の少なさに関しては、特に渋谷という街を使ったアイデアとしてそれぞれ期待を語ってくれました。
「渋谷でトップ選手たちが集まるような大会を開きたい。と同時に子どもたちに競技を教えるクリニックも開催したい」(落合さん)
「渋谷、原宿と街にひとつづつスケートパークがあるといい。そのためにも、一般の人にも競技に対して理解してもらい、いいイメージを持ってもらう必要がある」(宮本さん)
最後に石川さんはこう言います。
「学生時代、自分にとって渋谷はヒップホップ(ブレイキンはヒップホップの音楽に乗せて踊る)の街だった。そういったストリートカルチャーがもう一度盛り上がってくれれば相乗効果が期待できるのでは。(ストリートスポーツだけでなく、音楽やファッションなどのカルチャーを複合的に楽しめる場所として)世界から人が集まるカルチャー発信地になったらいい」