“線引き”しないことで見えてくる、ストリートダンスの未来——カリスマカンタロー/FISHBOY/荒木理恵子

「ストリートの未来図」
<日時> 11月10日(火) 15:30-16:30
<会場> SHIBUYA QWS

<登壇>
起業家・ダンサー・ダンスクリエイティブディレクター
カリスマカンタロー
ダンサー・プロデューサー・アーティスト
FISHBOY
モデレーター:
株式会社ODORIBA 代表取締役
荒木理恵子

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ストリートカルチャーに特有の風潮として、それをビジネスにすると“セルアウト”したと非難されがちではあるものの、ビジネスとして確立されないと継続して取り組んでいくことが難しい……そんな課題が常につきまとうという指摘から、このセッションはスタート。ストリートダンスにはどれだけビジネスとしての未来性があるのか、意見が交わされました。

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ダンスをビジネスにすることが時に批判されることについて、カリスマカンタローさんはこう語ります。
「プロである以上はお金を稼ぐので、お金をナメてはいけない。カルチャーの世界ではセルアウトしていくことがダサいという風潮があるが、それがカルチャーの発展を阻害している」と。また、先を見た時に「歳を重ねて世間の同年代の収入と比べていくと厳しいものがある。若い時はそういうマインドセットがないからこそ、どうやってビジネスにしていくかを伝えていきたい」と語りました。

一方、学校教育に現代的なリズムダンスが導入され、部活やサークルでもダンス人気は近年上昇。さらに2021年にプロリーグ「D.LEAGUE」開幕やブレイクダンスがパリ五輪の追加競技になるなど、未来に目を向けてもダンスを取り巻く状況はこれまでとは異なるものになっています。そういった背景から以前よりも競技人口、潜在的な市場規模が拡大していることについて、FISHBOYさんは、YouTubeやTikTokの影響が大きいと指摘。「YouTubeでダンスを勉強したり、TikTokがダンサーをインフルエンサーにするといったことが起こっている」とその理由を説明しました。

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カリスマカンタローさんは、「これまでは人前で踊ることは恥ずかしいと思っていた人が多かったが、TikTokによってそれが変わり、市場がひとつできたのは大きい」と分析。その上で「ダンスはこれからスポーツ的な方向性と、カルチャーの方向性とに分かれていくが、どちらかに振り切る必要はない。”アートスポーツ”として捉えて、わざわざ線引きしなくてもいい」という認識を示しました。

また、「D.LEAGUE」参加チームに企業によるスポンサードがついたことに対しては、「若い世代の中でダンスが人気になっていることには企業は気づいているが、これまではどうやって自分たちとダンスをつなげるのかがわからなかった。でもダンスチームを持つことでブランディング、マーケティングとして、若い子とコミュニケーションをとる手段としたいと考えている」と説明。それを受けて、FISHBOYさんは「昔と比べて、アンダーグラウンド、オーバーグランドの線引きもなくなってきている」と語ります。「今はSNSでフォロワー数が多いと仕事がもらえる。そういうことがあるので線引きがあいまいになってきている部分はあると思う」。

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そういった状況とコロナ禍によって、ダンスカルチャーのSNSへの移行が加速して、カルチャーとしての深みがなくなる可能性も懸念されます。しかし、FISHBOYさんはそういった可能性は考えられるとしたものの、「カルチャー自体は発展の中で変化してきたから受け入れている部分もある」と語り、カリスマカンタローさんは、「メジャーなものが生まれたらその一方でアンダーグラウンドな別のアプローチも生まれるので、ダンスシーン自体は盛り上がるはず。カウンターカルチャーであるダンスは決して消えない」と続けました。

最後に、高齢化社会を迎える日本社会の課題をダンスが解決する可能性についても意見が交わされました。
「ほかのスポーツに比べて難易度が自由に設定できるダンスは高齢者にも取り組みやすく、フレイル予防の効果もあるため、医療費の高騰問題の解決にも繋がる」とFISHBOYさん。「だからこそ渋谷のような街でも若者だけでなく高齢者がダンスできるようになればいい」。

カリスマカンタローさんは、「渋谷の街の中にはダンスに使える施設が沢山あるが、それを使いたい人とのマッチングができてない。渋谷の魅力は色々なものが入り混じるところにあるので、そういった施設をダンスで使うことでまた新しいカルチャーが生まれてくるはず」と語りました。

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