あなたが描く未来は新たな文化を育むか。気鋭の4名が読み解く未来の曼陀羅——加形拓也/前田瑶介/福田恵里/芹澤孝悦/赤津慧/小泉秀樹/志村彰洋

「#FUTURE DESIGN by 未来曼荼羅」(SHIBUYA STARTUP SUMMIT)
11月12日(木) 15:00-17:00
@渋谷ストリーム ホール

株式会社電通デジタル電通未来曼荼羅2020編集長 サービスイノベーション事業部 事業部長
加形拓也
WOTA株式会社 代表取締役CEO
前田瑶介
SHE株式会社 代表取締役CEO
福田恵里
プランティオ株式会社 共同創業者 / CEO
芹澤孝悦
株式会社ハロー 代表取締役
赤津慧
株式会社電通 ゼネラルマネジャーSmartcell & Design ビジネスディレクター
志村彰洋
一般社団法人渋谷未来デザイン 代表理事
小泉秀樹

DSC00043 あなたが描く未来は新たな文化を育むか。気鋭の4名が読み解く未来の曼陀羅——加形拓也/前田瑶介/福田恵里/芹澤孝悦/赤津慧/小泉秀樹/志村彰洋DSC00004 あなたが描く未来は新たな文化を育むか。気鋭の4名が読み解く未来の曼陀羅——加形拓也/前田瑶介/福田恵里/芹澤孝悦/赤津慧/小泉秀樹/志村彰洋

電通と電通デジタルが共同で2010年からリリースを続けている「未来曼陀羅」は、近未来に起こることが予想される60の「未来トレンド」をまとめた発想支援ツールです。
このセッションでは、未来を切り拓くイノベーションに取り組む4社の代表を招き、各自が最新版「未来曼陀羅2020」からトピックを選び取って順に語っていくスタイルでのクロストークが展開されました。
それぞれのシーンで革新を続けるみなさんが見つめる未来と、その課題とは、どんな事柄なのでしょうか。

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プランティオ株式会社の芹澤さんは、生まれも育ちも渋谷という根っからの渋谷っ子。祖父の次郎さんはプランターの発明者として知られています。「プランターの発明の本質はどこでも気軽にアグリカルチャーに触れる機会を創出した事だった」と語る芹澤さんが現在手がけるのは、IoTをつかい複数人で気軽に就農できる次世代型プランターとアプリ、そしてそれを通じたコミュニティーの形成。それを都市において劇的に展開していくことを目指しています。

そんな芹澤さんは、未来曼荼羅にまとめられた60個の「未来トレンド」のなかから『世界的食糧不足問題』の項をトークテーマとして選びました。
「フードロスの問題が深刻化するなか、世界ではアーバンアグリカルチャーがどんどん浸透している。ニューヨークではいまやビルの屋上の1/3が畑になっているし、パリは“地産地消の都を目指す”と宣言している。極め付けはロンドンで、いまや都市部に3,000もの畑があり、年間120万食分の野菜を市民がつくっています」
生産する土地と消費する土地が乖離しているからフードロスが起こる。これからはオフグリッド型のアグリカルチャー、“Farm to Table”の考え方が益々重要になってくる、と語りながら、東京に住む人にとっては意外な指摘をします。
「東京にある建物の屋上には、東京ドーム1,900個分の空きスペースがあり、すべてを農地化すれば東京の既存農地の広さを超え、年間70万人分の野菜を作れる試算になります」
芹澤さんが見据える未来は、2025年の東京が、空から見たら緑溢れる都市になり、持続可能な農と食が社会実装されている世の中です。

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赤津さんが代表取締役を務める株式会社ハローは、テクノロジーで新しいエンタメを作る企業。最近ではVTuberを起用したテレビドラマの制作などで注目を集めています。
赤津さんが未来曼陀羅から選び取ったテーマは『個が強い時代』。これからは一般の人がインフルエンサーになれる時代だと指摘します。
「2025年には、すべての人がスターになれるチャンスを持っている時代になる。個人が企業の力を凌駕する時代になればいいと思います」
スターになれる機会がすべての人に平等にある時代、その萌芽は2020年現在、すでに芽吹いていると言えるでしょう。多くの個人が影響力を持ってSNSなどで発信を続け、広告ビジネスのあり方も少しずつ変容しています。

赤津さんがもうひとつ挙げたテーマは『VR・非言語コミュニケーションの発達』。その未来図は「リア充でも夢中になれるVRワールドの形成」だと読み解きます。テクノロジーを用いたエンタメは、とかくいわゆる“オタク”、“ギーク”と呼ばれる愛好家たちのあいだでもてはやされがち。しかし今後VR技術がより一般層にまで浸透することで、VR世界のなかで生活費を稼げる人もでてきて、恋愛から結婚、やがては出産まで(?)できるような世の中になるのではと赤津さんは語ります。
また、そうしたVR技術の浸透の手助けになるのはファッションの視点であるとも指摘。「スキー場でゴーグルをかけていても自然に見えるのに、いま街なかでおなじようにVRゴーグルをかけていたらかなり異質に見えます。しかしそうしたデバイスがファッションカルチャーの切り口から浸透していけば、それが自然でおしゃれな行為になっていくのでは」

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福田さんが代表を務める株式会社SHEでは、ミレニアルの女性に向けたクリエイティブ、マーケティング支援サービス「SHElikes」をオンラインとオフライン両軸で展開しています。“わたしらしい働き方を叶えるライフ&キャリアスクール”と銘打っているものの、参加者からの反響はその範疇にとどまらないのだそう。「SNSでの口コミが月に4〜5,000件あり、『人生が変わった』という声が多い」というこのスクール。理想の生き方を見つめ直すことで人生を変革したいミレニアル女性が集まる場所となっていることから、「スクールというよりもコミュニティブランド」と捉えているのだと言います。
結婚や出産など、女性のキャリアの幅を狭めてしまいがちなライフイベントに寄り添うブランドとして、ライフコーチングカンパニーになっていきたいと意気込む福田さん。彼女が未来曼陀羅から選び取ったテーマは『人材の流動化とリカレント教育の進展』と『教育のデジタル化の加速』。大学を卒業後は“学ぶこと”がイレギュラーなことになってしまう現在ですが、2025年には「こうなりたいと思ったときにいつでも挑戦ができる時代に」なってほしいと語り、またもっと長い尺度でみれば、義務教育もアップデートされていくべき、と展開。
「田舎で生まれたわたしは、みんなが同じであること、平等であることを求められて育ちました。人と違うことをするといじめられたり。しかし東京で就活をする段になると“自分になにができるか”という“個”を求められるというギャップに違和感を感じました。個性を強みに、自分らしさを発揮することを求められてきたミレニアル世代が親になる時代、義務教育もデザインシンキングやキャリア教育を取り入れるなど変革しなければ」とし、そのためには“素敵な考えをもつ人”がもっと教育に従事できる環境づくりも必要ではないかと添えました。

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そして4人目は、いま特に各業界から注目を集めているWOTA株式会社の前田さん。WOTAでは既存の水インフラに接続せずとも、使った水をその場で浄水し再利用することで、オフグリッドでフレッシュな水を提供し続けることができる“水処理自律制御プラットフォーム”を開発し、社会実装に取り組んでいます。
2050年には、安全な水の確保に困窮する人たちの数が地球の全人口の4割にまでのぼるとも言われています。そうした世界で持続可能な水環境を実現するために活動を続けてきたWOTAですが、新型コロナウィルスによる一連の混乱のさなか、世界初の水循環型ポータブル手洗い機にはことさら注目が高まっています。

前田さんは未来曼陀羅から『都市の自律化』『エネルギー地産地消の可能性』というテーマを選び、「あらゆる基礎資源を地産地消、再資源化していくことにこれからの人生で取り組んでいきたい」と語ります。世界中で同時進行的に水循環の仕組みが普及するために、現在渋谷や銀座、鎌倉などで実装実験を重ねる前田さん。これから来るべき世相を「都市が持続可能な生活様式を見つけはじめる時代」と言い表しました。

また、ユニセフの発表では世界の47%の学校、16%もの医療施設に、良好な手洗い設備がないとされていることを挙げ、「先進国で水循環の公衆手洗い設備が100台導入されるごとに、世界の難民キャンプなどにも1台導入されるドネーションの仕組みをつくっている」と語りました。感染症と水の問題を世界で同時に解決したい、それが前田さんが未来に向かって取り組む、夢のような、しかし現実的に手が届きそうにも思える、世界の多くの人にとって意義深い目標です。

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4人のトークを終えて、志村さんが「全部気になる話だった(笑)」と感嘆するとおり、聴衆にとっては未来に強い希望を持てるセッションとなりましたが、小泉さんはそれを振り返りながら、「ここにいる人たちは本当のイノベーター。オフグリッドで自律的な仕組みづくり(芹澤さん、前田さん)や、一人ひとりの個の発揮のための取り組み(福田さん)、そして他人と群れなければいけない状況から救うようなVRの思考(赤津さん)……そうした“自律的”“個の尊重”“群れない”というあたりに共通点があった」と指摘。

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加形さんも同調して「そうした共通性が、既に具体的な事業として進んでいる。従来なら大規模な先行投資と時間が必要だったことも、これからは分散化、自律化をキーワードに、各領域において素早く最適な場所で実現できる時代になるのだろう」と添えました。

最後に芹澤さんが「インターネット台頭の時代から、これからは分散型オフグリッドがテーマになってくる時代。まったく違うカルチャーが組成されていくことがたのしみです」と語ったのには、おそらく聴衆のみなさんもまさしく同じ思いだったのではないでしょうか。

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