report_img
アーティストが独力でグローバル市場にまで手を伸ばせる時代 ——「エンタメ業界のデジタル革命の最前線」

開催: 9.21(土) 渋谷ヒカリエ 8/COURT

“多様な未来を考える12日間”「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷」
https://social-innovation-week-shibuya.jp/2019/

DIVE DIVERSITY SESSION
「エンタメ業界のデジタル革命の最前線」

2019年9月21日(土)12:00〜12:45
渋谷ヒカリエ 8/COURT
<登壇>
ZAIKO株式会社取締役COO Lauren Rose Kocher

登壇者のZAIKO株式会社取締役COO・Lauren Rose Kocherさんは、アメリカ生まれながら日本でしか働いたことがないという、異色の経歴の持ち主です。そんなLaurenさんが「エンタメ業界のデジタル革命の最前線」について解説します。



「現在、世界の音楽市場では、CDの売上は25%しかありません。一時期はダウンロードによる音楽購入も流行りましたが、音楽ストリーミングサービスの利用者が増えていて、売上の45%がデジタル配信です。来年には、売上の半分以上が音楽ストリーミングサービスになるといわれています。これが音楽業界におけるデジタル革命です」

現在、主に普及している音楽ストリーミングサービスは、いずれも2016年頃に立ち上がりました。3年が経ったいま、ようやく邦楽のアーティストが続々と参加しています。直近ではPerfumeや安室奈美恵さんの楽曲が配信されたばかり。
音楽ストリーミングサービスの台頭によって、これまでの音楽シーンと何が変わったのでしょうか。



「今までは楽曲をオーディエンスに届けるにも、スタジオでレコーディングをして、CDを工場で製造して、店舗に出荷するというように、かなり多くのステップを踏む必要がありました。しかしデジタル革命によってアーティストは楽曲を作ってすぐにリリースが可能になったのです」

さらに、デジタル化によって「透明性」という“New Rule”が誕生したとLaurenさんは言います。

「たとえばSpotifyは申請をすれば、レーベルを通さずすべてのデータをアーティスト自身がチェックできます。今までの音楽業界はブラックボックス型のビジネスモデルになっていて、アーティストが得られる情報は少なかったのですが、デジタル化によって自分の楽曲がどんな人に、どれだけ聴かれているのかまでわかるようになりました」



この“New Rule”をチケット販売にも適用させるために、LaurenさんはZAIKO株式会社を立ち上げました。

「ZAIKOが提供しているのは、オーディエンスにとっては、わざわざコンビニにチケットを取りに行かなくてもよく、アーティストにとっては、ライブの告知をTwitterやInstagramのストーリーズで告知すれば終わり、と両者にとってメリットのあるサービスです。Spotifyのように、何枚売れ、どんな言語の、どこの人が買ったかなどが管理画面でわかるようになっています」

デジタル革命は日本の音楽市場にとって、グローバル化のチャンスでもあります。

「今までは日本のアーティストがアメリカでCDを出すのはハードルが高かった。アメリカのレーベルや広告代理店を探したりするのに手間がかかっていたのです。でも今はYouTubeやストリーミングを使って世界各地で聴けますし、チケットもデジタルであれば英語でも販売できます」



韓国の男性ヒップホップグループ・BTSは、インディーズレーベルですがYouTubeで有名になり、アメリカで話題を呼んでいます。同じような可能性が日本のシーンのアーティストにもある、とLaurenさんは語ります。

日本だけでなく、アジア全域をターゲットに事業の展開を狙うLaurenさん。ZAIKO株式会社の今後に注目です。

レポート一覧に戻る

SHARE