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血の繋がりはなくても。家族に“なっていく”父としての確信 —「New Family〜新しい家族の形〜」【SIW2019レポート】

開催: 9.16(月) 渋谷ヒカリエ 8/COURT

“多様な未来を考える12日間”「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷」
https://social-innovation-week-shibuya.jp/2019/

DIVE DIVERSITY SESSION
「New Family〜新しい家族の形〜」

2019年9月16日(月)13:15〜14:00
渋谷ヒカリエ 8/COURT
<登壇>
トランスジェンダー活動家/株式会社ニューキャンパス代表取締役
杉山文野

渋谷区は、日本で初めて同性パートナーシップに対する証明書を発行したエリア。以降、2019年4月時点で11の自治体が同様の制度を導入しています。

LGBTへの正しい理解を社会に促し、みなが生きやすい社会実現のための活動も行なっている杉山文野さん。ご自身もトランスジェンダーです。2019年にパートナーが出産し、父親になりました。その過程には、さまざまな不安、葛藤、また実質的なハードルがあったと話します。ただ、「それは、家族とは何かを考えるきっかけになったのも確かです」。



杉山さんたちにとっての妊活は、(生まれてくる子の環境をまず先に考え)子どもの人権を専門にする弁護士さんに相談することからスタート。
そして、杉山さんとパートナーは生理学的には女性同士。友人であるゲイの方から精子を提供してもらうことで、パートナーの妊娠に至ったと説明します。
つまり、杉山さんとパートナー、そしてゲイの友達——親が3人存在するわけです。

「じつのところ、当初、僕と子どもの間に、血の繋がりがないことに不安もありました。しかし、子育てをしていくうちにそれは関係ないことを確信しました」



家族が増えて、変わったこと、発見したことも杉山さんは教えてくれました。
「ひとつは、初めて長生きしたいと思った。また、子ども用品におけるジェンダー・バイアスの強さを実感しましたね。男の子はブルー、女の子はピンクの商品ばかり」

ありがちな“この子は男の子? 女の子?”という質問には、「“今のところは女の子です”と答えています。僕も昔はスカートをはいていましたから」と笑います。



いまでは、月に何回か、ゲイの友達も家にやってきて、“家族団欒のひと時”をシェアするそう。
杉山さんにとって家族とは——「たとえば、“血の繋がった親だから、家族だから、すべてわかってくれるはずだ”と思いがちですよね。でも、親とはいえ、いい意味で他人。僕の性について理解をしてもらうのにも時間がかかりましたから。そうやってコミュニケーションをして、家族に“なっていく”のではないでしょうか。
家族とは、法や言葉によって定義されるものではないと思うのです」

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