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異業種の中に“ファッション”というキーワードを入れる ——「ファッションの可能性」【SIW2019レポート】

開催: 9.18(水) 渋谷ヒカリエ 8/COURT

“多様な未来を考える12日間”「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷」
https://social-innovation-week-shibuya.jp/2019/

DIVE DIVERSITY SESSION
「ファッションの可能性」

2019年9月18日(水) 14:30~15:15
渋谷ヒカリエ 8/COURT
<登壇>
株式会社ワンオー 代表取締役
松井智則

「人、社会、地球をファッションの力で豊かに」をコンセプトにした株式会社ワンオーは、ファッション業界で得た縁で街づくりなど様々な分野にも進出。代表取締役の松井智則さんは、そこにファッションの可能性があると語ります。

セッションでは、同社取締役の岡安さんとともにまずファッション業界の現状を説明。「近年は工場、生産者、ショップ・百貨店ともに売上が減少しており、従来のビジネスモデルの限界がきている」と語りました。



一見すると先行きは暗いように思えるファッション業界。しかし、それは従来のビジネスモデルをこのまま継続し続ける場合に限ります。その証拠にファストファッション市場は好況で、業界に台頭しています。このことから「市場規模よりも市場の中身が変わってきている」ことがわかると松井さん。

また現在、業界においては従来の雑誌メディアの低迷が起きている代わりに個人の発信力、インフルエンサーの影響力が強まったことなど、ほかの変化も見られます。そして、現在、他の業界と同じくファッションの世界においても“サスティナブル”であることに注目が集まっているといいます。

2013年にバングラディッシュでおきた工場の事故は業界の労働環境を見直すきっかけに。また環境保護の観点から廃材のリサイクルなど廃棄物を出さないようにする取り組みが始まっています。
“安いからとりあえず買う”から“本当に必要なものを買う”時代へ。それが現在、ファッション業界で起きている変化だといいます。



そんな状況の中で、松井さんは「ファッション感で豊かなライフスタイルを。ファッションをクローズからオープンなものに」というコンセプトを掲げ、ファッションの可能性を探っています。

「信用」と「街」をキーワードに展開している2つの事業のうち、EQUALANDでは、「信用」で作るマーケット作りに取り組み、生産プロセス、消費されるトレンド、適正価格かどうかなど業界に向けられる不信感を払拭することを試みます。
そのためにEQUALANDブランドでは工場の余り生地を使って服を作り、どこの誰が作ったかかが一目でわかる“信用タグ”を付けているそうです。



もうひとつの事業、渋谷を舞台にした街イベント「シブハラフェス」では、ECの売上増加などで小売店が疲弊していたり、渋谷・原宿以外にもお洒落なエリアが台頭しているからこそ、ファッションの街であるこのエリアをもう一度その中心にしたいという松井さんの想いが込められています。

その中で地域の方々との共存やサスティナブルなファッションエリア、地域通貨「ファッション手当」を設けることはファッションの可能性を広げることにつながるといいます。

松井さんは自身の考えるファッションの可能性についてこう語りました。
「日本が先進国になって東京のファッションは発展を続けてきたが、今は行き詰まっている。でも異業種の中に“ファッション”というキーワードを入れることでそのあらたな可能性を感じています」

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