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攪拌して、混ぜ合わせる。それは多様な価値との出会わせ方 —「異なる価値との出会い〜ソーシャルマドラーのススメ〜」【SIW2019レポート】

開催: 9.16(月) 渋谷ヒカリエ 8/COURT

“多様な未来を考える12日間”「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷」
https://social-innovation-week-shibuya.jp/2019/

DIVE DIVERSITY SESSION
「異なる価値との出会い〜ソーシャルマドラーのススメ〜」

2019年9月16日(月)15:45〜16:30
渋谷ヒカリエ 8/COURT
<登壇>
東京大学先端科学技術研究センター 地域協創リビングラボ 特任助教
近藤早映

とりわけ戦後日本における市役所のサービス、あるいは市役所に対する市民のニーズなどを丁寧に調査しながら、新しい街づくりのあり方を研究対象としてきた近藤早映さん。
「もっとわかりやすく言えば、“住みよい街をどう作れるのか”ということ」。

そしてそれを実現するためのキーワードとして「ソーシャルマドラー」という、すこし聞きなれない言葉を挙げました。



「これまでは“公共空間(市役所などの行政)”と“プライベートの空間(市民)”の接点を強化することで、(市民のニーズが現前化し、行政がそれを反映されることで)、よりよい社会が作れると思われてきました。ただ、そういった接点で見えてくるものは、主に社会参加に積極的な市民の要求。
では、“シャイ”な市民をはじめ、街に住む人たちの全体的なニーズ、多様な価値をすくい上げるにはどうすればよいか——飲み物を攪拌するマドラーのような存在が社会に必要だということです」

今回、近藤さんは「ソーシャルマドラー」になりうるものを3つ紹介してくれました。
ひとつは市役所。「たとえば、長岡市役所。ここは、市役所のそれぞれの課を市内のさまざまな建物に点在させています。そうすることで市役所の中の人たちが街中を回遊するようになり、行政と市民のタッチポイントが増えました」。



また、近年世界的に注目されているアニメコンテンツも。
「細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』。その舞台になった富山県上市町には、多くファンの方が“聖地巡礼”に訪れています。と同時に市民発案の観光客を取り込んだイベントも行われています。
生活者と観光客が垣根なく混じりあうことで、場の価値創造が起こるわけです」

そして、最後に挙げたのが、近藤さん自身も東大のなかで試験的に実施している「リビングラボ」。このリビングラボとは、人々の生活空間のなかで、社会実験を重ねるオープンイノベーションのこと。



「実際に、東大内なので生活拠点ではありませんが、文理の枠を超えた大学の研究者、関係する地自治体が集まって、一つの問題について“かき混ぜ”ながら、議論、実験を重ねています。
そうすることで、それぞれにとって本当の課題が見え、またその解決方法も具体的に見えてきます」

異質な価値と出会う場を作ること、それが広く共創に繋がることを具体的に教えてくれました。

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