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インターネットは人類共通の文明。現在〜未来にどう向き合うか —「インターネット文明と渋谷革命」【SIW2019レポート】

開催: 9.15(日) 渋谷ヒカリエ ホールA

“多様な未来を考える12日間”「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷」
https://social-innovation-week-shibuya.jp/2019/

DIVE DIVERSITY SESSION
キーノート「インターネット文明と渋谷革命」

2019年9月15日(日)11:50〜12:35
渋谷ヒカリエ ホールA
<登壇>
工学博士 村井 純

人類がデジタルコンピューター技術を手にして約70年。
それらをつなぐインターネットが人々に使われるようになって約20年。
「日本のインターネットの父」として知られる村井さんに、現在まで、そしてこれからのインターネットと社会の関係について、未来の渋谷のあるべき姿にも触れながら、お話しいただきました。



インターネット技術の進化と普及は、文明と呼び得ると村井さんは言います。
「文明というものは、複数あると違いにぶつかり合うもの。それによって隆盛したり衰退したりする。しかしインターネット文明が歴史上のほかの文明と違うのは、世界でひとつしかない、ということ。人類共通の文明として皆で育てていくことができます」

その設計段階で既に国境の概念は組み込まれていなかった、インターネット。
現在の日本では、すでに生活から切っても切り離せない存在になっています。

世界に目を向けると、全人類の60%の人がインターネットに繋がっているのが現在の状況なのだそう。
2012年には国連が、インターネットへのアクセスは人間の基本的な権利である、と表明するに至りました。昨今では「インターネットインクルージョン」といい、インターネットに繋がることが出来ないという人へどう手を差し伸べるべきか、という考え方が生まれています。
そんななか、インターネットにアクセスする人々にとって、そのあり方が変わってきていることを村井さんはこう指摘します。

「昔はリアルとサイバー空間を分けて感じながら生活していました。しかしリアルとサイバーの完全融合が始まっています」



ただ情報を得るだけでなく、買い物やエンタメ、なんでもサイバースペースでできてしまう現在、インターネット上での活動が、リアルとは別の次元だという意識はないという人も多いのではないか。
そこで村井さんは、
「道具を用いて人間が成長するのが、文明。あくまでも人間が中心にあり、人間のための道具としてテクノロジーがあることを意識することが大事」と指摘します。



また最後に渋谷の再開発の話題に触れ、
「個々の専門家たちが連携しながら、あたらしい文化の創生に挑戦し、様々な課題を解決できるのがインターネット文明だと思う。
人間中心にテクノロジーが道具として発展していくべきであるように、渋谷の街の発展もまた、“渋谷がよくなること”が中心に据えられるべき。
より大きな単位では難しいかもしれないが、渋谷という単位で考え、目が行き届くなら、あぶれる人がないように進められるかもしれない」と語り、

それを受けて、司会を務めたSIWプロデューサー・長田新子は
「たとえばひとつの業界の利益だけが追求されるのでなく、渋谷という単位でのビジョンを持つことが大事ですね」と締めくくりました。

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