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被災後の生活再建を具体的に想像し、希望につなげる —「SOCIAL INNOVATION×災害仮設住宅ワークショップ」【SIW2019レポート】

開催: 9.13(金) 渋谷キャスト スペース


「SOCIAL INNOVATION×災害仮設住宅ワークショップ」
2019年9月13日(金)17:00〜20:00
渋谷キャスト スペース
<登壇>
専修大学ネットワーク情報学部教授
佐藤慶一
専修大学ネットワーク情報学部客員教授/有限会社プラス・サーキュレーション・ジャパン代表
中西紹一


首都圏直下型地震の発生が心配されていますが、その備えは十分でしょうか?
このワークショップは、多くの人には「自分は関係ない」と思われがちであるものの、災害時にはすぐに、大量に必要になる《仮設住宅》にフォーカスを当て、ソーシャルイノベーションを考えていくものです。

専修大学客員教授 中西さんは、災害に備えていまから準備できることってなにか?を議論することで、その先に希望を見出すことができると語ります。「今日はワークショップを通して“希望”をデザインしてもらいたいと思います」



参加した方たちはテーブルごとにグループになり、まずは“もし自分が被災したらどういう行動/対策をとるか”を想像し、付箋紙に書き出します。グループ内で意見交換をしながら、その後それらを「緊急避難」「仮住まい」「生活再建」のいずれかにカテゴライズしていくことで、自身の想定が被災後のどのフェーズに及んでいるのかを再確認しました。



中西「たいてい、被災後の1週間や1ヶ月のことを考えがちですが、実際は生活再建にはもっと時間がかかります。そのときになってオロオロしないために、生活再建を具体的にイメージできるようになってほしいと思います」



専修大学教授 佐藤さんのプレゼンテーションでは、生活再建期の仮説住宅の重要性と、具体的なプロセス、それに伴う諸問題について説明。

阪神淡路大震災では4.3万戸、東日本大震災では7.3万戸の仮設住宅が必要となりましたが、
首都圏直下型地震が起きた場合、25万〜37万戸の仮設住宅が必要との試算があるそう。その日の天候や風の強さによって被害は大きく変わるとされていますが、仮設住宅を建設できるスペースや、空きの賃貸住宅を行政が借り上げて仮設住宅に転用できる想定数を考えても、東京都の区部では仮設住宅が足りなくなる区もあり、またもし天候によって被害がとても大きい場合には、一都四県を合わせても首都圏の被災者の住宅がまかないきれず、およそ13万人もの人たちが一気に地方へ引っ越しをしなければならないという状況も浮かび上がってくるといいます。



首都圏直下型地震はやがてやってくるという意識はあっても、自分が思っていた以上にそこには具体性が欠けていたことに気付いたり、
想定していたつもりでも実際は生活再建までに長い時間がかかり、様々な具体的な課題があることに思い至っていなかったことに気付き考えることができる、いい機会となりました。

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