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バーチャル空間に「もうひとつの渋谷」ができたら、なにする? —「渋谷5Gエンタメテック会議」【SIW2019レポート】

開催: 9.12(木) 渋谷ストリーム ホール


「渋谷5Gエンタメテック会議」
2019年9月12日(木)13:00〜13:50
渋谷ストリーム ホール
<登壇>
お笑い芸人コンビ「野性爆弾」くっきー!
クリエイティブディレクター 小橋賢児
渋谷区観光協会 代表理事 金山淳吾
KDDI株式会社 ビジネスインキュベーション推進部長 中馬和彦
<ファシリテーター>
渋谷未来デザイン 理事 長田新子


いよいよ2020年から実装が始まる5G回線。これによる様々な変革の可能性が語られる、まさに“5G前夜”のいま。
「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷2019」2日目となる9月12日、
《エンタメ×5G》で渋谷の街をより面白くするプロジェクトの紹介とともに、渋谷の未来を考えるイベントが催されました。



一般財団法人渋谷区観光協会と一般社団法人渋谷未来デザイン、そしてKDDI株式会社が立ち上げたこの『渋谷エンタメテック推進プロジェクト』は、“渋谷の街をエンターテインメントとテクノロジーでアップデートする”というビジョンを掲げています。

KDDI株式会社 中馬和彦さんは、来たる5G時代のスタートダッシュをここ渋谷から始めていきたい、と語ります。
その第一弾として紹介されたのは、ARとVPS技術を活用することで、現実の渋谷の景色にデジタル情報をオーバーレイし、リアルとバーチャルが融合した「ハイブリッド渋谷」を出現させる、というもの。



すでに今日から、渋谷スクランブル交差点で専用アプリの入ったスマホをかざすことで、様々な情報やオブジェクトが空間上に浮かび上がって見える環境が整っています。

今回クロストークでは、プロジェクトに賛同したパネリスト、くっきー!さんと小橋賢児さんとともに、。バーチャル空間に立ち上がる「あたらしい渋谷」を活用したその未来像について語られました。



小橋「バーチャルな渋谷が出来上がれば、デジタルネイティブな世代の若者たちにも入り込みやすい。彼らはバーチャル空間を“架空”のものではなく、それもひとつの世界であると認識できる世代だから、そこからあたらしい文化がつくられるあたらしい土地になっていくと思います」

くっきー!「たとえば街じゅうを美術館にしたりもできますね」

中馬「このバーチャル空間には個々人がログインするので、つまりユーザーごとにパーソナライズしたバーチャル渋谷を出し分けることができます。渋谷に集まる多様な人たちに合わせたそれぞれの渋谷をつくっていくことができるということです」



セッションの後半では、登壇者それぞれにフリップが配られ、それぞれが思う「未来の渋谷」を描いてみることに。

小橋「5GやARと聞くと映像を用いたエンタメを思い浮かべがちだけど、僕は音が大事だと思っています。バーチャルな渋谷のなかに自分だけの音が鳴る空間をつくれたり、アーティストがつくった音響空間に入ることができたり。公園などではリラックスできるサウントスケープに包まれることができたり」



金山「ハチ公とお散歩できるようになったら楽しいと思う。ハチ公に引っ張ってもらって渋谷を歩いて買い物できたらいいですね。
ハチ公が生きていた時代をバーチャルで再現して時間を超える体験もしてみたい。」



くっきー!「僕は田舎町で育ったから、渋谷は未来都市みたいで憧れがありました。大人になって実際来てみると、ウェルカムでいい街だなと感じます。ただ、これからは街の概念を変えて、人が田舎から“渋谷に来る”んじゃなくて、“渋谷が田舎に行く”(笑)。渋谷の街自体をトラックに乗せて全国を行脚する(笑)」

中馬「バーチャルな渋谷を地方へ運んでいくということなら、確かにできそうですね(笑)」

その後も、未来の渋谷像の想像は止まりません。



くっきー!「人は建物や空ばかり見て、なかなか地べたを見ない。ARで渋谷の地面がスケルトンになったら面白い」

金山「キャットストリートの下の暗渠とかね。
たくさんの建物が建って、土地はどんどんなくなっていくんだけど、バーチャル空間にあらたなレイヤーができ無限の土地が生まれると、バーチャル空間のデザイナーさんが街を自由にデザインしていける時代がくる」

中馬「建物の建て方も、そこにバーチャル空間を重ねる前提で建てるといった考え方に変わっていくかもしれない。バーチャルで補完する前提ならコストも抑えられるかもしれないですね」



小橋「この技術が時代を超えてアップデートし引き継がれ続けると考えると、たとえば未来への手紙みたいなかたちで、ある時代のある日になるとあらかじめ埋め込んでおいた映像メッセージが街に流れたり…、とか想像するとわくわくしますね」

「そんなふうに革命的な体験をつくれるクリエイターが渋谷に集まってくるといいなと思う」と金山さん。ファシリテーターの長田さんは「また今後もこの会議を継続していきたい」と結びます。

長田「5Gというと難しく考えがちなものですが、こうしてわかりやすく楽しく語り合うのも大切なことですね」

まさに最先端技術がエンタメを通して市民の手のひらに降りてくる、その実感の湧くトークセッションとなりました。

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